MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『HK 変態仮面』

2013-04-16 20:08:31 | goo映画レビュー

原題:『HK 変態仮面』
監督:福田雄一
脚本:福田雄一(脚本協力:小栗旬)
撮影:工藤哲也
出演:鈴木亮平/清水富美加/片瀬那奈/ムロツヨシ
2013年/日本

変態を巡る考察

 敏腕刑事だった色丞張男と、「ソドム」というSMクラブの「ドSの女王様」として働いていた魔喜との間に生まれた主人公の色丞狂介は、紅游高校の拳法部に所属する冴えない高校生であったが、ある日、同じクラスに転校してきた姫野愛子が銀行強盗に巻き込まれ、人質に取られている現場に偶然遭遇し、愛子を救うためにビルに忍び込み、覆面をするつもりが間違えて女性用パンティを被ってしまい、脱ごうとしたものの脱げなくなり、それどころか今まで経験したことのないエクスタシーを感じ、潜在能力を100%引き出された「変態仮面」に変身することになる。
 変態仮面はもちろん変態なのであるから、彼が被る女性用パンティの‘クオリティ’によって強さのレベルも変わることになり、実際に、未使用よりも使用済みの方が、表よりも裏の方が、もちろん赤の他人のものよりも愛する人のものの方がレベルアップにつながるのであるが、数学教師の戸渡による、敢えて裏側よりも表側を顔にフィットさせ、その‘渇望感’によって却って興奮するという理屈は、変態というよりも、逆にノーマルに向かってしまう倒錯であり、変態を貫こうとするならば、寧ろ裏側の‘シミ’などに拘るべきであるとしても、そこまで行ってしまうと笑えなくなるレベルになることは間違いなく、「変態度合いの高さと強さとは比例しない」という正論と同様にその倒錯も諾うべきであろう。
 ‘蜘蛛の糸’の代わりにSMで使用されるロープによるスパイダーマンのパロディもよく出来ており、クライマックスの呆気なさは、さすがにそこまでCGにつぎ込む予算がなかったであろうから仕方がないが、片瀬那奈の怪演を伴う脚本はとても上手く、いわゆるヒーローものとしては同時期に公開されている『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z』(金田治監督 2013年)を超える近年稀にみる佳作である。


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