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 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『名探偵ポアロ : ベネチアの亡霊』

2023-10-01 00:57:05 | goo映画レビュー

原題:『A Haunting In Venice』
監督:ケネス・ブラナー
脚本:マイケル・グリーン
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
出演:ケネス・ブラナー/ティナ・フェイ/リッカルド・スカマルチョ/ジュード・ヒル/ジェイミー・ドーナン/ミシェル・ヨー
2023年/アメリカ

トリックと心霊現象の塩梅について

 1947年。既に探偵業を引退していたエルキュール・ポアロはベネチアで暮らしていたが、旧友でミステリー小説作家のアリアドニ・オリヴァに誘われてハロウィンの夜にオペラ歌手だったロウィーナ・ドレイクの屋敷で、ロウィーナの亡くなった娘のアリシアの霊を呼び出そうと霊媒師のジョイス・レイノルズを招いて行われる降霊会に参加することになる。他にはドレイク家の家政婦のオルガ・セミノフ、ドレイク家の主治医のレスリー・フェリエと彼の息子の10歳のレオポルド、アリシアの元婚約でシェフのマキシム・ジェラード、ポアロのボディーガードのヴィターレ・ポルトフォリオ、レイノルズの助手のニコラス・ホランドとデズデモーナ・ホランドが参加している。
 ここから簡単にネタバレして書くが、屋敷はかつて孤児院のあったところでペストで大勢の子どもが亡くなっているという過去を持つ。レイノルズはタイプライターを用いて霊と交信するのだが、そこでタイプライターは「M」を打つことでアリシアの死が「殺人(Murder)」であることが分かるのだが、その直後に女神像の槍の上に落下してレイノルズが亡くなり、ポアロが犯人を捜し始めるのである。その内に音楽室でフェリエが背中を刺されて殺されてしまう。
 殺人の経緯を書いていくが、アリシアはマキシムと結婚するつもりだったのだが、母親のロウィーナの過干渉で婚約は破棄され実家に連れ戻された後は、体調が優れなかったのだが、それはロウィーナは娘に覚醒剤の作用があるシャクナゲの蜂蜜を紅茶に入れて飲ませていたからなのだが、母親が不在の時に発作を起こしたアリシアに、蜂蜜の成分を知らなかったオルガが良かれと思って大量に紅茶を飲ませて死なせてしまい、オルガが取り乱していなくなった隙に、真実を隠すためにロウィーナはアリシアをバルコニーから投げ落として転落死に見せかけたのである。
 ところが脅迫状が届いたことから、ロウィーナはアリシアを診断したレスリーと、アリシアの死後、受け取った手紙に誰も知らないアリシアの愛称である「アスパシア」と書いてきたレイノルズを殺す計画を立てたのである。レイノルズは背後から押して殺し、強制収容所でトラウマを抱えて精神的に衰弱していたレスリーには「他殺に見えるよう偽装して自殺しなければ、息子を殺害する」と脅したことで死んだのである。しかしそもそも脅迫状を書いてロウィーナから金銭を受け取っていたのはレスリーではなく息子のレオポルドだったのである。ポアロは気づいたが結果的に父親を殺されたまだ10歳の子どもなので見逃したのである。
 この交霊会はそもそもオリヴァの小説のネタ作りにレイノルズとポルトフォリオが一緒になって仕組んだものだったが、屋上庭園で栽培されているシャクナゲよる幻覚で悩まされながら謎を解いたポアロでもなお原因が分からないことがある。例えば、勝手にタイプライタ―が「M」を打ったり、シャンデリアが突然落ちてきたりするのだが、クライマックスにおいてポアロに屋上に追い詰められたロウィーナがアリシアの亡霊に引っ張られて落下するシーンを見た時、これはトリックと心霊現象の塩梅が絶妙だと妙に納得させられたのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/crankin/entertainment/crankin-13355310


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