MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ウインドトーカーズ』

2013-05-07 19:25:48 | goo映画レビュー

原題:『Windtalkers』
監督:ジョン・ウー
脚本:ジョン・ライス/ジョー・バッター
撮影:ジェフリー・キンボール
出演:ニコラス・ケイジ/アダム・ビーチ/クリスチャン・スレーター
2002年/アメリカ

無力なキリスト教について

 主人公のジョー・エンダース伍長が、任務として護衛を任されたナバホ族の暗号通信兵であるベン・ヤージーに冷たい態度を取る理由は、アメリカインディアンに対する偏見のせいなのか、あるいは南太平洋ソロモン諸島ブーゲンビル島を死守しようと指揮を取っていた小隊を、部下の要請を無視して撤退させなかったために、部下を全員失い、親密になることで失った際の代償の大きさを悟ったジョーが敢えて親しくなることを拒絶しているためなのか微妙なところではある。
 同様に、オックス・ヘンダーソン軍曹もナバホ族の暗号通信兵のチャーリー・ホワイトホースを護衛する任務に付き、2人はハーモニカと民族の笛を通してお互いの理解を深めようと試みるのであるが、そのような親しさも冷たささえも意味をなさないような地獄が彼らを待ち受けることになる。サイパン島においては同じアメリカ軍の別働隊に襲撃されたり、暗号を知られることを防ぐために、日本軍の捕虜になろうとしていたホワイトホースの‘口封じ’にジョーは手榴弾を放り込んで殺害するはめにまで陥るのである。
 やがてジョーもベンもクリスチャンであることをお互いに知ることになるのであるが、ある日本人村の家で描いた教会をジョー自ら腕で消したり、ラストもジョーが自ら犠牲となることで救われたベンがジョーを弔う際に、教会ではなく、ナバホ族のしきたりで弔うなど、キリスト教の否定と見て取れるために、本作は佳作でありながらアメリカにおいて興行的にはヒットしなかったように思う。


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