MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『生きる LIVING』

2023-04-10 00:52:34 | goo映画レビュー

原題:『Living』
監督:オリヴァー・ハーマナス
脚本:カズオ・イシグロ
撮影:ジェイミー・D・ラムジー
出演:ビル・ナイ/エイミー・ルー・ウッド/アレックス・シャープ/トム・バーク/エイドリアン・ローリンズ/オリヴァー・クリス
2022年/イギリス

「ゾンビ」としてのお役所仕事について

 舞台は1953年のイギリスで画質も当時の作品のような感じなのが面白い。何故1953年だったのかと思ったらオリジナルの『生きる』(黒澤明監督)の公開が1952年で、そんなに古い作品だったのかと思ったのだが、ここで描かれ、暗に批判されている「お役所仕事」はどこの国でも盤石なのだから、本作もオリジナルに負けないほどの名作だとしても、名作だからと言って例え70年経とうとそれで観客が学び、それが社会を変えることは絶対にないということが2作品に共通する悲嘆な結論ではないのだろうか。
 主人公のロドニー・ウィリアムズ(ビル・ナイ)が歌うカロライナ・ネアン(Carolina Nairne)が作ったスコットランドの歌謡曲を和訳しておきたい。

「The Rowan Tree」 Jim Reid 日本語訳

ナナカマド
いつも私には親愛なものだけれど
故郷と幼少期の多くの絆とあなたは密接に絡み合っている
あなたの葉っぱはいつも春の訪れを告げ
あなたの花は夏の矜恃を示す
この田舎にそのような魅力的な木はなかった
ナナカマド

夏の間に
あなたはあなたの白い房と一緒にどれほど遠くまで行ったのか?
鮮明な赤い色の実に包まれて
あなたの秋のドレスはどれほど豪華できらびやかだったろう?
あなたの滑らかな茎の上には
たくさんの名前がついていた
もはや私には見えないけれど
それらの名前は私の心に刻まれている
もう名づけられないことは忘れよう
ナナカマド

私たちは広がったあなたの陰の下に座った
幼子たちはあなたの周りを走った
彼らはあなたの美しく赤い実を取ると
糸を通してネックレスを作った
お母さん!
私は決して動かない彼女を見ている
彼女はひざがしらに幼いジーニーを座らせて
ジーニーは膝にジェーンを座らせて
気晴らししている私たちを見て笑っていた
ナナカマド

聖なる夕刻の静けさの中で
私の父親は祈りを始めた
殉教者の賛美歌において
私の母親の声は何と甘美だったろう
今全ては過ぎ去ってしまった
もはや私たちはナナカマドの傍で会うことはないけれど
あなたの故郷と幼少期の連なりの周囲にある
神聖な配慮と遭遇する
ナナカマド

ROWAN TREE JIM REID
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1130274


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『妖怪の孫』 | トップ | 『ザ・ホエール』 »
最新の画像もっと見る

goo映画レビュー」カテゴリの最新記事