秋の味覚（新サンマ）

北海道の生サンマが一匹９８円。飛ぶように売れていた。サンマの刺身もそこそこ旨いと思うが、私には塩焼き以上の味とは到底思えないのである。青魚は火を入れたり、酢でしめることによって生よりも美味しくなる。例外としてはマアジくらいだ。

イキの悪いサンマは腹に大量の鱗を飲み込んでおり閉口するが、今日のはほとんど入っていなかった。背とハラワタにたっぷりと脂がのっていた。晩酌のビールのピッチが速くなった。

私は酒の銘柄にこだわらない男だ。酒はあくまでも脇で、メインは料理という考えである。「○◆△ビールが絶対に一番」というようなことを平気で語る人間はどうもあやしい。「私の中では××が一番」という言い方をする人は視野が広くて出来もいい（笑）

新たな発見を自ら放棄するような人間にまともな評論など出来ようか。視野狭窄に陥った輩が多用するフレーズを目にする度に私は苦笑しているのだ。

虫のしらべ

リーリーリーリーリー。ツヅレサセコオロギの鳴き声で目が覚めた。まだ夜は明けていなかった。冷たい空気に身震いした。セミの声が鬱陶しくてたまらなかった日々が遠い昔のように思える。待ちに待った秋が漸くおとずれたのである。