金土はやけに蒸し暑く冷房の助けを必要とした。日付けが変わったあたりから雨が降ったり止んだりして多少ましになっている。
私が洋楽を聴くようになったのは1982年からである。コンパクトディスク・プレーヤーお披露目よりちょっとだけ早かったと思う。LPの最後の時代にあたり、駅前には数軒貸しレコードがあった。
そこで初めて借りたのがビートルズの「LET IT BE」だった。音の悪さにはびっくりしたが、枯れた味わいが気に入り、半年かけて彼らの出したLPをすべて聴いた。中学2年生から高校入学までが最もビートルズに傾倒した時期であった。
明らかにやる気が失せたジョン、自信満々のポール、不満げなジョージとリンゴの対立は映画を通して知った。ゲットバック・セッションで使い物になった曲は僅かであった。
お蔵入りした曲や公式盤のアウトテイクは数多くのブートで聴くことができる。その大半が散漫な出来だが、後に「ABBEY ROAD」やソロ作品に収録されることになるナンバーのデモは大変貴重である。
NAKEDはポールの我儘で発表したような作品である。音を小奇麗にしたところで暗い過去が消えるものでもない。いったんヒビの入った人間関係は再生不能であることをビートルズは証明している。