松阪市街は小雨がぱらついていた。焼肉の看板が異様に多い。私はてっちゃんに尋ねた。
「やっぱり焼肉店もピンからキリまであるんだろうな」
「その通り。最も高いのが和田金。次いで牛銀かな。今日行くのは、大衆が利用する店だよ」
「そうか。楽しみだね」
店に到着したのが正午10分前。既に店内は8割方埋まっていた。テーブルにカンテキをはめ込んでいる。舞い上がる煙をフードで吸い上げる方式を採用していた。てっちゃんはバンバン注文した。
・松阪牛特選
・タン
・上肉
・カルビ
・ハラミ
・ホルモン(小腸)
・タケノコ(コリコリ)
・椎茸
・ご飯
見るだけで胸いっぱいである。特選とタン以外は特製味噌だれを揉みこんでいる。これがこの店の特徴だ、と教えてもらった。土地によって味付けが大きく変わるのは興味深い。食文化を研究する上では「郷に入っては郷に従え」が鉄則だ。

特選は軽く塩を振って両面をさっと炙り、口に入れた。経験したことのない旨みが舌を包み込んだ。味噌だれが最も効果的だったのは、ハラミとホルモンである。ハラミは今まで食べてきた中でもトップクラスだった。
松阪駅まで送ってもらい、感謝を述べて別れた。私の乗った特急は大和八木駅で切り離された。前4両が京都行き、後4両が難波行きであった。JRの構内に入るやいなや催してきた。
どうして体調の異変が起こるのだろうか。臭い置き土産をたっぷり残して何も買わずに帰路についた。またク■京都にしてしまった(愛のない伏字w)。私のアレルギー体質は一生治りそうもない。
