私が飯を食っているところへ老人が入ってきた。「失礼します」と言って隣に座り、350円の焼きうどんを注文した。話し方と身のこなしから昭和一桁生まれと思われた。だらしない60代とは全然違う。
彼はうどんをある程度食べて箸を置き、店主である老婆に話しかけた。
「繊維ビルの店は今年で閉めるとこが多いみたいじゃ」
「来年の2月頃から取り壊しかね」
「そうよ。新しいビルが建つ。伏見町の再開発の方は全くすすまんが。わしが生きとる間には終わらんわw」
「ほほほ。繊維ビルの取り壊しの方が先になるとは思わなんだね。ゴネるんがおるからどうしようもないんじゃろ。伏見町がきれいになる頃には私も生きちゃおるまーw」
「わしらーはとても無理じゃが、お兄さんは大丈夫よ」
「はー。まぁ、どうでもええですがね。この街はいつまで経っても垢抜けないと思いますよw」
私の毒舌に二人は大笑いした。その元気さを見てあと五年は生きるような気がしたのだった。
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