祖母は何の根拠があるのか、よくこんなことを言った。
「犬糞は臭いばーで肥料にはならんけー。畑にまいたら野菜が枯れる」
私が「ほんまに?」と突っ込みを入れると彼女はニヤニヤして決めの一言を放つのだった。
「アレはほんまに役に立たん!」
祖母は畜生の類が嫌いだったから誇張した面も多かったのだろうが、両親もこれには同意見だった。
私が小学校に上がる前、新幹線の架橋が完成し、犬を連れて散歩する者が増えた。まもなくコンクリートの支柱の周りには糞の山ができ、鼻をつまんで歩かなければならなくなった。夏場の悪臭は特に酷かった。
子どもながらに「品のない大人が多い街だ」と思った。飼い主の頭の悪さが伝染したかのようなみすぼらしい犬がひねり出す汚物を見て苦笑した日々。昭和50年代前半の話だが、街のモラルは現在でもあまり変わっていないのが情けない。
「犬糞は臭いばーで肥料にはならんけー。畑にまいたら野菜が枯れる」
私が「ほんまに?」と突っ込みを入れると彼女はニヤニヤして決めの一言を放つのだった。
「アレはほんまに役に立たん!」
祖母は畜生の類が嫌いだったから誇張した面も多かったのだろうが、両親もこれには同意見だった。
私が小学校に上がる前、新幹線の架橋が完成し、犬を連れて散歩する者が増えた。まもなくコンクリートの支柱の周りには糞の山ができ、鼻をつまんで歩かなければならなくなった。夏場の悪臭は特に酷かった。
子どもながらに「品のない大人が多い街だ」と思った。飼い主の頭の悪さが伝染したかのようなみすぼらしい犬がひねり出す汚物を見て苦笑した日々。昭和50年代前半の話だが、街のモラルは現在でもあまり変わっていないのが情けない。
