寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

食文化の違いを知る旅

2010年03月05日 | 食文化

若い頃の関東での暮らしは不満を言い出すときりがなかった。初めのうちは愚痴をこぼしてばかりだったが、やがて口にするだけ無駄だと思うようになった。

私は気分転換をはかるために旅に出ることを覚えた。頻繁に遊びに行ったのは当然東京である。「金さえあればこれほど楽しい街はない」と評した同級生がいたが、私は「あまり金を使わなくても面白い所だ」と感じた。

新宿、渋谷、神田神保町はとりわけ刺激的で知的好奇心を大いに満たしてくれた。食事は築地でとることが多かった。そこで人肌の酢飯と本マグロの美味しさを初めて知ったのである。この体験が食文化の違いを研究するきっかけとなった。

旅の範囲は首都圏から東北、北陸、信州、東海へと広がっていった。私があらゆる面で高い点数をつけたのが石川県、次点は鯉・そば・馬肉・ネマガリダケといった食材のすばらしさを教えてくれた長野県になる。

淡水魚料理で卓越した技を見せる島根県(松江市)や滋賀県はもっと評価されるべきだと思う。両県から私は以下のことを学び取った。

一見地味だが、自己主張し過ぎることのない街は眼力あるリピーターをつかむ。資金力だけに頼ったワンパターンな戦略がもろに裏目に出た広島県西部の都市とは対照的である。やはりポイントで球に緩急をつける勘こそが最も重要なのだ(笑)

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膳所城下町を巡る(その9)

2010年03月05日 | 

京阪電鉄「膳所本町駅」から緑色の車両に乗った私はぼんやりと物思いに耽っていた。

人の道から大きく外れた結果、民衆の面前で虫けらの如く仕置きされた罪人は死の間際に何を言い残したのであろうか。己のような蛆を生み出す政(まつりごと)を非難し強がってみせたのか、あるいは悪行の数々を後悔して母の名を叫んだのか、興味は尽きない。

悪事に手を染める連中は幼い頃から不幸な境遇に育った者が多い。残念なことに人間はこの世に生を受けた瞬間から既に不平等である。平等なものがあるとすれば、万人に死が訪れるという一点のみだ。

恨みや妬みの感情を抱き続けた罪人は身体が無くなった後も成仏できずに刑場跡を彷徨っているのかも知れない。旧大林村を完全に離れたところで、初田餅菓子店で買った「みかさ」を取り出し頬張った。甘いはずのどら焼きが噛んでいるうちに複雑な味に変わり舌を刺した。

三笠(=どら焼き)

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