青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

確かに、そこにあった、はず。

2023年07月14日 17時00分00秒 | 名古屋鉄道

(あの夏、静かな凪の入江@東幡豆海岸)

蒲郡線は、三河湾に沿って走りますが、残念ながら車窓から海が見える場面というのは殆どありません。ただ、一番海に近い場所にある東幡豆の駅からは、駅からほんの少し歩くだけで海岸に出ることができます。蒸し暑い一日でしたが、さすがにまだ海水浴には早い梅雨の最中。ガクアジサイの咲く浜辺で、地元の親子がチョイ投げ釣りしていたり、波打ち際で遊んでいたり・・・

ビニールのホーム上屋に、なんとなく市民プールのプールサイドのような懐かしさがあるような東幡豆の駅。かつては開通以来の雰囲気のある木造駅舎が建っていたそうですが、老朽化と合理化のために二年前に取り壊されてしまいました。真新しいアスファルトに、そこにあった「はず」の駅の姿を偲ぶのみで、郵便ポストだけが寂しく残っています。名鉄の蒲郡線は、慢性的な赤字続きで存廃問題すら取り沙汰される状況の中、いわゆる「おカネのかかること」というものは極力やらないことにしている感じがヒシヒシと感じられます。

そんな東幡豆の駅に、律儀に30分に一本やってくる赤い電車。どの列車にも、多くはないもののぽつりぽつりと乗降客は見られます。蒲郡線はICカード非対応、かつ券売機すらなく乗車証明書による対応ですし、中間駅同士の利用では小銭での車内精算になるんですよね。あまりにもやってる事が前時代的で、名鉄本社の蒲郡線に対する仕打ちの非道さを憂うばかりなのでありますが・・・ってか、名鉄っていったん合理化って決めたら結構容赦しないイメージはあるよね。

駅舎があった時代の、東幡豆駅周辺の案内図。駅の周辺の景色を見ると、今は既にないお店の案内なんかも掲載されているし、そもそもこの看板も移動しているようだ。在りし日の賑わいはないにせよ、それでも旧幡豆郡の中心をなした幡豆町の住民にとって、名鉄蒲郡線というものはなくてはならない交通手段のはず、なのですが。

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日向道、紫陽花の道。

2023年07月12日 17時00分00秒 | 名古屋鉄道

(梅雨の僅かな晴れ間に@西幡豆~東幡豆間)

基本的には梅雨空だったこの日の三河湾沿岸、朝方に少しだけあった晴れ間を使って、いい感じに紫陽花の咲いた小川の土手を歩いてみる。ローカル私鉄は概して本数が少なく、カット数を稼ぐのに難儀するものだが、30分ヘッドでどちらかからは電車の走る蒲郡線。アングルを決めて待つ時間もちょうど頃合いで、手数とコマ数には心配がない。これが15分おきだとアングルが固まらないし、1時間だとさすがに列車間隔が長すぎて間延びしてしまうんだよな。特にこれからの夏場、炎天下の線路っぱたで何時間も列車を待つのはさすがにしんどい。

紫陽花って、植物だから一応日光は嬉しいもんなんだろうか。
それとも、雨を吸って人間みたいにエアコンで涼みたい・・・なんて思っているのだろうか。
湿気の強い海風に蒸され、ぽたぽたと滴る汗をぬぐってクルマに逃げ込んだ、三河湾の梅夏。

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白帯車、潮風の街を行く。

2023年07月10日 17時00分00秒 | 名古屋鉄道

(ノコギリ屋根の、軒を掠めて@形原~西浦間)

名鉄の蒲郡線は、高架になった蒲郡の駅を出ると、線路は蒲郡の市街を抜け、海岸線沿いの街を走って終点の吉良吉田までは約17km。沿線は豊かな三河湾の漁場を抱えた漁港町で、そこかしこに港湾関係や漁業関係の会社や工場が多い。漁具、撚糸、船を係留するロープ、ヨットやテントの帆布、スフ、ディーゼルエンジン、船体を作るFRPの工場、冷凍機の看板。観光客向けの磯料理のお店や、シマノやがまかつの看板を掲げる釣り具屋釣り餌屋・・・そんなゆるりとした街並みに足を止めると、なんとも昔ながらのノコギリ屋根が連なる工場を発見。どうやら、船や港で使われるロープを作る工場らしい。蔦の絡まる風合いに、相当古くからある工場とお見受けしますが、家に帰って調べてみたら、なんと創業120年だとか。

潮の香漂う街並みに。工場の軒を掠めて、白帯が往く。

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三河湾、梅雨の朝を鮮やかに。

2023年07月08日 07時00分00秒 | 名古屋鉄道

(にしがま線リターンズ@名鉄蒲郡線・形原駅)

梅雨のとある週末。一応の晴れ予報に一日お暇をいただいて、夜の新東名を一走り。西側に行くのも久しぶりな感じだったのだけど、新東名はやっぱり走りやすいねえ。静岡県を軽く一跨ぎして、三ケ日から東名本線へ。音羽蒲郡ICから三ヶ根山を抜けて、やって来たのは蒲郡の街。昨年の暮れに、思い付きで乗った名鉄の蒲郡線。中京の大手私鉄である名鉄の末端部分、のんびりしたローカルムードに惹かれた。そんな雰囲気をファインダーに閉じ込めたくて、ファーストショットは形原駅。三河湾に沿う漁港街、朝早い駅にのっそりと現れた白帯の6000系を、部活に出かける子供たちが待っています。

駅前のバス停は、蒲郡と西浦温泉を結ぶ路線のもの。形原の駅から、かつては温泉へ向かう行楽客もいたのだろうか。県道の踏切をゆっくりと横切って行く蒲郡線の真っ赤な車両。最近は名鉄もアルミやステンレスの車両が増えて、赤一色という感じもしませんですけど、ここで走っているのはそれこそ自分たちが子供のころに見た、正統派の名鉄らしい真っ赤っかなスカーレットの車両たち。思ったほどは晴れなかった梅雨空の朝、三河路の一日をどう切り取ろうか・・・そんな事を思いながら、列車を見送りました。

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赤に染まるGW。

2023年05月26日 21時00分00秒 | 名古屋鉄道

(スカーレットは永遠の輝き@名鉄本線・神宮前駅)

新年度から職務内容が大幅に変わり、書き溜めていたここの記事も更新が切れて、なかなか手つかずになっております。かと言って何もしてない訳じゃなくて、このGWは息子と一緒にまたJR東海の休日お出かけフリーきっぷなんぞを買って名古屋くんだりまで日帰りで行ってたんですわ。一泊くらい出来れば良かったけど、ヤツも部活だなんだと忙しいので仕方なし。

名古屋まで行って、ただ名鉄だけに乗るでもいいのだけど、一応ってんで熱田神宮とセントレアと犬山城に行って来た。豊橋で藤田屋の大あんまき食べて、名鉄特急の特別車で神宮前~セントレア~犬山遊園~名鉄岐阜~豊橋と名鉄の主要どころをひとめぐり。日帰りでここまで回れればいいか。犬山城は天守閣に登るだけで90分待ちとか言われたんでさすがに城を見ただけで撤退。豊橋を19時前に出ないと、普通列車だけでは家に帰れないのが悲しいところ(笑)。静岡長げえわw

そうそう、個人的には犬山城より名鉄の犬山橋で撮影が出来たのが良かったね。かつての道路併用橋、トラスの側に僅かにの頃アスファルトに往時の姿を偲ぶ。キハ8000系特急北アルプスがクルマとせめぎ合いながらこの橋を渡って、新鵜沼から高山、富山、立山に向かっていたあの時代に思いを馳せて・・・

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