青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

さよならリンゴ&屋代線の旅 その2

2012年03月15日 22時06分37秒 | 日常

(時の止まった駅@屋代線屋代駅)

屋代線は開業90年の今年、その役目を終えて廃線となる訳ですが、正直沿線風景を楽しむと言うよりはこう言う小物系に面白みがあるような気がいたします。屋代駅のホームに掛かった時刻表、発車時刻は紙で貼られてて殺風景ですが両脇に書かれた広告がいい味出してますね。寿司屋のくせにそばをウリにするのが信州らしいっつーか(笑)。電話番号の(更埴)ってのがまた…最近こう言う表記見なくなったもんなあ。ちなみに更埴市ってのもとっくになくなって、今はここは千曲市になっちゃってるんですけどね。

3月は毎週のようにイベントが開催される屋代線界隈。今回は日本旅行の企画にて団体専用列車として屋代線にリンゴが入り、しなの鉄道の169系国鉄急行色と屋代駅で並べちゃおうってコラボ企画がありました。しなの鉄道が信越本線だった時代、上野を出る急行「妙高」にくっついて、屋代から切り離されて湯田中へ向かう急行「志賀」と言う列車がありまして、それが169系の3連での編成でした。乗り入れ自体は昭和57年とずいぶん前に廃止されてはおるんですが、まあ屋代線のいい時代を懐かしんでと言う事でのイベント。


雪の舞い降る中、軽井沢から特製ヘッドマークを付けて屋代に入線した169系。今日は旧河東線の廃止を惜しんで、急行「河東」のヘッドマーク。急行志賀はその当時、屋代から長電線内を須坂・信州中野に停車して湯田中まで向かっており、1980年頃のダイヤで上野7:53→湯田中12:22と言うダイヤで走っていたみたいですね。急行志賀の存在は知ってましたが、それはケイブンシャの大百科の中の話でさすがに現物は見たことありません。使われていた169系は急行用横軽対策車のエース。今やこのしなの鉄道に僅かな数が残るのみで、しかもその中でも特別な存在である国鉄急行色のS52編成が長電のリンゴ編成と並ぶと言うのは、まあ例えて言うなら松田聖子と河合奈保子のデュエットみたいなもんで(古いよ)、マニアにとっては極めてプレミアム感が高いシロモノと言う訳なのです(以上説明終わりw)。

 

本来であればツアー参加者のみ許される撮影会ですが、普通にしなの鉄道ホームからお姿を拝む事は出来ますのでそのおこぼれに与かる事に(笑)。屋代駅に響き渡るカメラのシャッター音。撮影会ですから、両雄のヘッドマークを時々差し替えたりして小一時間。そのたびに再びヲタのシャッター音が鳴り響く。場内の熱気は雪をも溶かす勢いで、ちょいと疲れて来たのでホームのベンチで一休み。

  

169系のサイドビュー。珍しくモノクロで撮ってみましたが、こうして見ると往時の雰囲気も少しは感じられると言うものでしょうか。サボに舞い散り床下機器にこびりつく雪が、時を経ても信州のエースたる風格を感じさせてくれます。最近の経済車輌じゃこの重厚感は出ないよね。東芝のロゴも旧式です。東芝日曜劇場時代のロゴと言ったらわかりやすいかw。ちなみに形式番号の横の丸ポチこそ横軽対策車の証でして、ここいらへんもひっじょーにお好きな方にはたまらないポイントなんですよね(笑)。

  

リンゴ編成は屋代からツアー参加者を乗せて須坂までの発車準備。撮影会も終わり、しな鉄169系は回送されてここからはリンゴ編成をじっくりと。台車の軸箱に残る「車」を模した日車マークにでっかく丈夫そうなボルスタアンカー。床下にズラッと並んだ抵抗器は、湯田中までの急勾配に備えた山男の嗜み。床下に並ぶ抵抗器ってのは個人的には凄くメカニカルで萌えポイントですよねえ…西武の4000とかゾクゾクしちゃいます(←変態)。そういやあの車輌も秩父線用の山男でしたね。ツアー専用列車は特製ヘッドマーク、こちらも急行「河東」。長電オールスターズをマークにあしらったデザインは、愛あふれる素敵な仕上がり。


須坂行きの団体臨時列車・急行河東号を金井山~大室間の離山隧道で待つ。ちょっと沿線の撮影ポイントに欠ける屋代線の中では、短い隧道を額縁にいわゆる「トンネルドカン」がやれる有名撮影地。さすが狭い立ち位置に撮りがひしめいてましてちょっとたじろいだのだが、元々ここで撮ってみたかったってのもあって先客にご挨拶しつつ後ろから300mmで。私が構えた後にも続々と人が来て最終的には10人強くらいの人間が集まったのだが、先客の初老の地元氏が「みんな遠くから撮りに来てんだから撮ってかなきゃ!」なんて言いつつ気を遣ってくれたので和やかな雰囲気に。こう言う雰囲気だと全くの初対面でも話がはずむもの。隣に構えたおっちゃんは昨日は岳南で貨物をやっつけて今日は長野に乗り込んで来たらしいのだが、離山に集まった人間の総意は「明日山ノ内にリンゴが行かないのはホント残念」だった(笑)。後ろの踏切が団臨の接近を告げるとみんな一斉に押し黙り臨戦態勢。モータードライブのシャワーを浴びて、特製ヘッドマークを付けたリンゴがゆっくりと駆け抜けて行きました。

次回へ続く。
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