台湾映画「海角七号」は、日本と台湾の歴史的な”絆”をテーマにしているのだが、日本では公開のメドさえたっていない。それとともに、日本の若い世代は、台湾に日本統治時代があったことさえ知らない人が多い。
「靖国神社参拝問題」「歴史教科書問題」などで中華人民共和国および南北朝鮮から非難されることを恐れて、日本政府はおざなりな歴史教育でお茶を濁している。近現代史の教科書は、「戦争は悪い」「平和を求めて」「民主主義の…」といった言葉の羅列のように見える。
また、公立学校の社会科教師は、長く「マルクス主義的歴史観」「進歩的歴史観」によって呪縛されていたので、冷戦以降の新たな世界観に対応できていない。相変わらず、自国の歴史を貶める「自虐史観」でしか生徒に歴史を語れないのだ。
だが、中華人民共和国や韓国で歴史教育がどう行われているのかと言えば、それは普通の日本人ならば憤慨するような「反日教育」だ。「日帝」の所業を心から憎み、批判しよう!という授業風景がyoutubeでも見られるので、興味のある方はぜひ見てほしいと思う。
http://www.youtube.com/watch?v=9HwqHOsAzDE
台湾や東南アジア諸国では、歴史教育における日本の評価は、中国、朝鮮とは大いに異なる。欧米の植民地支配をうち破った日本を高く評価していても、決して貶めなどはしていない。
映画「海角七号」の大ヒットは、多くのことを教えてくれた。台湾では今なお親日感情が一般的であること、その原因は、日本統治時代と中国国民党独裁時代の比較体験にあること、そして、李登輝氏以降の民主台湾が、日本統治時代の「功罪」をきちんと歴史教育で教えはじめたことなどだ。もちろん、日本の功績として、台湾社会の近代化、産業開発に果たした役割を高く評価しているのだ。
もしかすると、台湾の若者の方が、日本の近代100年の歴史を的確に理解しているのかも知れない…。