在日中国人というと、今やイメージも地に落ちた感がある。「犯罪」「身勝手」など、マイナス・イメージばかりなのだ。もちろん、ここでいう「中国人」とは、大陸の中華人民共和国から来た人たちのことだ。
入管法上、在日台湾人については、国籍欄に「中国」と記されていたが、これでは大陸の中国人であるのか、台湾国籍の台湾人であるのか区別が付かなかった。もちろん、こうなったのは日本が日中国交回復を行い、台湾と外交関係を断交したためである。
在日台湾人は、大陸の中国人と同一視されることを嫌っているので、今回の入管法改正案は彼らにとって朗報となる。だが、中国政府の顔色をうかがう政党もあるので、すんなりと実現するかどうかは分からない。
不法滞在フィリピン人の娘が可哀想だから、親子の在留許可を与えるべきだなどというキャンペーンが、今なお行われている。在日台湾人はこれを見て、何と日本は不誠実な国かと思うのではないか。当然の処置をした入国管理局が、マスコミや支援団体から「こどもの権利条約」違反だと罵られる国…。「国籍」の重さ、それが時には生命を分けることもあるという事実を認めない国…。
「日本精神」は何処に??
在留カード「台湾」表記 入管法改正案 中国政府の反発予想
政府が今国会に提出した在留外国人行政を一元化する出入国管理法改正案が、在留台湾人から熱い視線をあびている。台湾人に国籍欄に「中国」との表記を強いてきた現行の外国人登録証に代わり、平成24年に導入される「在留カード」では「台湾」表記が認められるためだ。ただ、中国政府の反発も予想され、与野党の対応が問われそうだ。
現行入管法は、外国人登録を市町村に委託してきたが、改正案では法務省入国管理局に一元化する。外国人登録証は廃止され、代わりに入国管理局が在留3カ月を超える外国人に対し、氏名、生年月日、性別、国籍、住所、在留資格、在留期限を記載した「在留カード」を発行する。
政府は住民基本台帳法改正案も国会に提出しており、在留外国人が市町村で住民登録ができ、在留カードと連携させることで、外国人の子弟の就学や健康保険加入など行政サービスの充実につなげたい考えだ。
在留カードは国籍欄を改め、「国籍または日本政府が認める旅券を発行している地域」を記載する欄に変え、台湾人は「台湾」と表記できるようになる。
日本政府は昭和47年の日中国交正常化以後、台湾を国として承認せず、「政令で定める地域の権限のある機関の発行した文書」として、台湾政府とパレスチナ自治区発行の旅券を認めてきた。パレスチナは平成19年に外国人登録証の「パレスチナ」表記を認めたが、台湾だけは「中国」表記のままだった。