エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

雪景色に纏わる 忌まわしい思い出

2015-02-17 | 日々の生活

                                                                     【蚕養神社で】

 最近のさんたろうさんのブログレポート「ここ俺の古里や」を読み、ふるさとを思う優しい心に触れた。そしてコメントを書いた。
 http://blog.goo.ne.jp/sekinonozii/e/3550d64c9632eed39e225416129c583c#comment-list
  【いつか新聞に雪の風情に感動したことを投稿をしたところ、豪雪地域の方からおしかりの電話を受けました。表現できない苦労がおありですよね。懐かしいふるさとに降り立ち、いろいろな思いがこみ上げてきたことと思います。】と。
そのコメントに、さんたろうさんから返事をいただいた。
  【〈私の知っている古里の人たちは「あなたの地方の雪の景色が美しい」といってもらったらみんな喜んで有り難うと言うと思います。自分の住む場所を褒めて頂いたんですから。】  そんなさんたろうさんの温かい気持ちに救われる思いがした。

●忌まわしい思い出
 時折、厳しくも美しい雪景色に感動する心を新聞の読者欄に投稿していた。
 それは2011.2.1だった。福島民友新聞の「窓」の欄に僕の「会津の雪景色をひそかに楽しむ」が掲載されたその日の午後、その文をお読みになった方から、ひどい憤りの電話がかかってきた。それは恐ろしい脅迫と言えるものだった。
  その電話の内容は・・・「今朝の新聞をみた。みんな大雪で苦労しているのに、風物詩的な書き方をするのをやめろ。書くのも悪いが、載せる新聞社も悪い。これから民友へも電話する。あんたの投稿は時々見ていた。今後、一切投稿するな。殺すぞ。」
そのとき、どちら様ですかと何度も聞いたが、言わなかった。 
  電話のあと、以前にも聞いた覚えのある声だと思った。たぶん、ずっと前に、僕が投稿した記事「楽しみたい会津の雪景色」(2005.1.23付 朝日新聞「声」欄)を読み電話してきた人?・・・、そのときも同じような内容だった記憶が甦った。
 これは事件だと思い、すぐに警察へ相談した。そんな忌まわしい思い出が甦った。

投稿文
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○2011.2.1  福島民友新聞の「窓」掲載文
  「会津の雪景色をひそかに楽しむ

 今朝も枯れ木に雪の花が咲いた。妻は積もった雪かきに余念がない。昨年末の大雪で、庭はうずたかい雪に埋まっている。今が一年中で一番の寒い時期、しんしんと降る雪、横殴りの吹雪の日と、毎日自然の厳しさを見つめている。
 何年も前に、「窓」の欄に「豪雪に悩む地域の方のつらさはわかるが、私は雪が大好きだ。そして雪が降るから冬が好きだし、会津が好きだ。」と書いた。その数日後、奥会津金山の人からお叱りのはがきを貰い、それで済まない辛さを詫びて反省したことがあった。
 確かに、来る日も来る日も鉛色の空から落ちてくる雪には恐ろしささえ感じるし、膝ほどの雪道でも、開けるのに一苦労だ。
 とはいうものの、雪を厄介者としか見ない生活は味気ない。厳寒の中にも雪のぬくもりも感じられるものだ。しばらくは雪マークの予報が続き磐梯の雄姿も見えないが、やがて節分、雪解けの陽が差す日も訪れるだろう。それまで、密かに会津の雪景色を楽しみたいと思っている。

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○ 2005.1.23 朝日新聞「声」欄 掲載文。                             
 「楽しみたい会津の雪景色」

 昨夜来の吹雪に車がすっぽり埋もれていた。市道までの雪かきを妻に任せ、徒歩で出勤することにした。「雪の降る街を」と口ずさみながら、何を考えるでもなく歩を進めた。太郎の屋根、次郎の屋根に降り積む雪は人の心にお構いなしだ。
 豪雪に悩む地域の方のつらさは時折の体験から十分わかるが、私は雪が好きだ。そして雪が降るから冬が好きだし、会津が好きだ。立ち止まり手袋に舞い降りた雪の美しさに見入った。時折小止みになると、目の前に杉林の雪景色が山水画のようにぼんやりと浮かんだ。
 「雪は天から送られた手紙である」と言ったのは中谷宇吉郎。私には雪は天からのこの上ない贈り物だ。雪景色にどれほど感動し、こころ癒されるか知れない。雪を厄介者としか見ない生活は実に味気ない。厳寒の中にも雪には暖かささえ感じられるものだ。
 厳しい寒さに耐える静寂の木々だが、じきにすべてが萌える季節が巡る。雪に埋もれる会津の冬をしばし楽しみたいと思っている。
 
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  あまりにひどい脅迫電話だと思った。これがそれほどまでに相手を傷つける文章だったのか、相手の気持ち、人となりがわからなかった。雪の苦労については知っているつもりだし、逆なでするつもりではなく、むしろしばらくの我慢で春を待ちたいとの趣旨だった。人それぞれの感慨はあり、それは尊重されるべきは当然と思っている。どこの誰かもわからない、私には異常とも思える電話の主に恐ろしさを感じ、許せないと思っている。