エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

感動の風花

2016-02-27 | 日々の生活

  眺める今朝の庭は、夜半に降り積もった淡雪に朝日が燦然と輝き、心が洗われる思いだ。

 書斎からの景色はいつも心のやすらぎだが、今年は雪が少なく、味気ない庭の木々は久々の雪を待っていたかのようだ。

 

 雪を踏んで庭へ出ると風はない。真上の桐の枝を見上げると、青空に薄いもやが流れひときわ美しかった。

 枝の雪は陽の光に枝を離れ、ときおり粉のようにちらちら舞い落ちた。

 この砕け散る美しい雪の粉の輝きに、感動のシャターを切った。 これを風花(かざはな)というのだろうか。

 自然の織りなすこの感動は、冷たい澄みきった空気を温める春の光から生まれたのだろう。

 でも、この輝く雪のドラマはわずかの時の流れに消えてしまった。

 

 ひととき眼に映ったあの美しい感動の記憶をたどった。

 ”我が生何処より来たり 去って何処にかゆく”と、良寛の根源的な問いが浮かんだ。