夕食後、隣組の友人から水路でホタルが舞っていると電話があった。カメラを持って飛び出した。
あちこちで点滅するゲンジボタルのほのかな灯りは、実に30年ぶりの懐かしい癒しの光だった。
町内では、わずかに残っていた田んぼもいつしか宅地化され、土はアスファルトに覆われ、小川のせせらぎはU字溝に変わってしまった。
ホタルもドジョウもサワガニも消え、もう見ることはできないとあきらめていたから、本当に嬉しかった。
何年も前、近くの里山に工業団地が開発され、林の中を流れる小川も大きなU字溝水路に変わり、林間に憩うイトトンボが姿を消した。
併せて、虫たちが樹液に集まる木々も無惨に倒されてしまった。
下水道の普及による水質の改善や、U字溝のない小川が戻れば、消えた水辺の生き物は帰ってくると思っている。
ホタルの灯りを見つめながら、みどりの自然、小さな生き物との共生こそが豊かな住環境ではないかと考えている。