◎ 多少の安堵
発生には少し早いかと思いながらも、数年前から見かけなくなったチョウトンボを見つけにトンボ池へ行った。
池に近づくと清らかな水の流れる音が聞こえた。
しばらく辛い気持ちで覗いていた池に、何故か突然、清らかな地下水が勢いよく注がれていた。嬉しくなり写真を撮った。
地下水流入 大分回復
そこが見え始めていた→ 水位上昇
30センチほど水位低下 小川乾燥 → 溢流水で小川回復
もう6~7年になる。毎年、池の水の悪化を訴えて故障したポンプの修繕を関係当局にお願いしてきた。
そしてようやく昨年夏、ポンプが修理された。でもその後、どうしたことか、池の水は満たされることはなかった。
いつか棲み付き産卵を続けていた絶滅が危惧されている(環境省絶滅危惧1類)マダラナニワトンボが来なくなって5年になる。
チョウトンボ(準絶滅危惧種)も3年前から姿を消した。
推測するに、水質が悪化と池の植生が変化により、産卵やヤゴの生息環境に影響いたものと考えている。
人工池の水位の低下は、夏場の異常な水温上昇(42度)、富栄養化が進んだ。
そして茅が繁茂し、開放水面がすっかり狭まってしまった。
近いうち、当局にまたお願いに行こうと思っている。
このまま、常に池が満杯に満たされていて欲しいこと。
そして願わくば繁茂した茅を大幅に抜き取り、水辺の生き物たちが棲みやすい池を目指しての環境保全を。
赤井谷地湿原の乾燥化が進み、長い間に育まれたトンボの宝庫が危機状態だ。
この公園の池はじめ、谷地周囲の湖沼はビオトープネットワークを形成している。
今こそその意義を考え、総合的な水辺環境の保全を図らなければならないと思っている。
◎ 意気消沈す
ヒメシロチョウが危ないと訴え続けているが、今日も難しい現実に出会った。
ヒメシロチョウは、環境省の絶滅危惧第1類、福島県では準絶滅危惧種に指定されている。
トンボ池からの帰路、夏型の発生が始まったヒメシロチョウの里を訪ねた。
1週間前、ホトトギスの鳴く静かな草原で、これまた絶滅が心配されるヒメシロチョウがさかんに産卵を繰り返していた。
穏やかな気持ちで彼女らを見つめながら、いつまでも無事の生息を思い浮かべていた。
【豊かな草原に ヒメシロチョウの産卵盛ん】 6/14
繁茂するツルフジバカマ
中央にヒメシロチョウ
その草原一体に軽トラックなど6台の車が乗り付け、付近一帯の草刈りが終わりつつあった。
夕方3時を廻り、約10人の作業員がしばしの休憩中だった。
すっかり刈り込まれた丘の光景に落胆し、言葉もなかった。
【何百のヒメシロチョウの卵が消えてしまった。】 6/22
夏の終わりに羽化する第3化のヒメシロチョウの命が根こそぎ失われてしまったのだ。
やり処のない怒りと情けない現実に、意気消沈とはこのこと、言葉もなく周囲を歩くだけだった。
近くの刈り残されたツルフジバカマに黄色い産み付けられた新しいいのちを認めた。
何もなかったように、生まれたばかりのヒメシロチョウ夏型が弱々しく舞い、花に止まっていた。
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今日に里山巡りで、またいろいろ考えさせられた。
経済優先で、物質的な豊かさを求める時代は、物言わぬ自然に耳をかたむけるべきだ。
未だ間にあうと思う。しかし一度失われた自然を取り戻すことは難しい。
今細々命をつないでいるチョウやトンボたちを絶滅させないための対策を急がなければならないと思っている。
多忙で、やりたいやらなければならないことが後回しの現状に、ひとり悶々としている。
でも、訴え続けたいと思う。掛け替えのないチョウやトンボたちのために。