キクザキイチゲ 開く
忘れられない歌がある。
もう半世紀近く前のこと、民間会社から教員へ転職、初任地の川俣で出合った川高讃歌だ。
年のせいだろうか。讃歌を口ずさむと、ふるさと会津へ戻るまでの6年間を過ごした川俣での日々が懐かしく思い出される。
生徒と、折に触れ歌った素晴らしい川高讃歌、始まりは
”紅き東雲ポプラに映えて 静寂を破る鐘は響くぞ 伝統香る紅葉が丘に 希望に燃えてああ集い来ぬ”。
讃歌の3フレーズ目はゆったりした流れに転調し、4番は情熱ほとばしるように盛り上がって終わる。
3番に ”花塚はそびえ広瀬はめぐる 春日の森の学舎よ ああうるわしき集いの庭に・・・”とあり、
目を閉じると、眼下に町を見渡しながら生徒たちと芋煮を楽しんだ花塚の林道、
借家の裏木戸を開けると広瀬川の堰の流れが響いていたこと、春日神社の賑わう秋祭りなど、数々の情景がよみがえってくる。
ときどき口ずさむ讃歌は、”種々の厚き教えは 花とかをらんとこしえに”で終わる。
川高卒業生の”とこしえ”の活躍を祈って止まない。
( 川俣高校は明治41年創立で、今年110年になるか。
讃歌は70年前に生徒が作詞・作曲)
川高讃歌
一、 紅き東雲ポプラに映えて
静寂を破る鐘はひびくぞ
伝統香る紅葉が丘に
静寂を破る鐘はひびくぞ
二、 我等立たずば何時誰かある
栄えある使命肩に担ひつ
試練の波を胸にぞ受けて
立つや時代のああ朝ぼらけ
三、 花塚そびえ広瀬はめぐる
春日の森の学び舎よ
ああうるはしき集ひの庭に
理想の花は
今や 清く 咲きなん
四、 讃え見よ我等が徽章
紫雲にさゆる楓の光
種々の厚き教へは
花とかをらんとこしへに
冬を越した花芽 君子蘭