年寄りの漬物歴史散歩

 東京つけもの史 政治経済に翻弄される
漬物という食品につながるエピソ-ド

明治42年11月5日大阪朝日新聞

2007年02月27日 | 福神漬
明治42年11月5日大阪朝日新聞
日本醤油の運命
兼ねてからよからぬ風聞の絶え間なかった日本醤油醸造株式会社はついに大失態をおこし株主はじめ一般需要者に向かって謝罪する状態に至った。とにかく会社製品の信用は地に落ち、もし内務省がこの際柔軟な処置に出ても一度落ちた製品の信用は容易に回復することは出来ず、従って現在の製法はある程度変更せざるを得ない。聞くところによると甘味を付加する点においてサッカリンに代わるには砂糖またはブドウ糖を使用すれば格別問題がないのに経済性のため使用したものである。同社の今日の損害は百万円以上(表面的にはまだ発表されていない)は主として醸造上及び販売上から起こるもので、資本回転上、普通醸造法のように六ヶ月以上の期間を延ばすことはできず、さらに醸造法を変更し失墜した信用を回復する策にでても切迫している会社の運転資本を如何にすべきか、目下大阪市内にて同社の無担保手形では僅かにしかならない。ただ田島社長の裏書にて事情を知らない某銀行より融資を受けた借入金も遠からず期限が到来するので、この際未払込株金を払い込ませる方法もあるがそのためには対株主の醸造法への信頼を得るしかない。会社内外の欠損金を隠蔽している今日姑息な手段では会社の運命も維持することも出来ない。この際大英断を持って会社内部の大改革を施し公衆に謝罪するほか策がないだろうと関係者は語っていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする