教養としての「昭和史」集中講義 -教科書では語られていない現代への教訓 井上 寿一著
父実家への里帰りで見た写真から知らなかった叔父の特攻行きから関東大震災後から終戦までの叔父の短い人生を理解するには良い本と思える。学校教科書ではここまでは理解できないと思える。今の政治より戦前の方がましな政策を提言していた気がする。
政府の反対攻撃で対案のない、さらに国民に対して不都合な政策を提言することが出来ていない。金をばらまいても貯金に回って景気浮揚につながらない国民心理を解明していない。
消費税を大幅に上げ、所得税と法人税で調整する政策を提言する政党はないのだろうか。多くの政党は増税が苦手で、国民の政治不信の基本は支持者へのバラマキ情報しかない。今の知識ある高所得者は節税知識が豊富で、余裕資金のない人たちが、節税の知識がなく搾取されている。放置した故郷の家の維持費で苦労している人が増えつつある。衰退する地方の墓地も維持できず、都会に墓地を移転しようとすると墓じまい等の費用が多大で墓地も負の遺産になりつつある。寺院も少子で必死であるが無住寺や無住神社も増えるだろう。昔よく見かけた子供神輿を動かすことの出来る町は今後も減るだろうし、助っ人子供の出番でもある。そのうち派遣の子供祭り要員も出るかもしれない。すべては親の郷愁に過ぎない。
母の弟が中国大陸の中央で戦病死した。招集され間も無く栄養失調により、病気にかかり死去した。中国大陸での鉄道網警備の兵隊であった。この作戦は一号作戦と言い、南方から物資を運ぶ鉄道の警備だった。米軍が飛び石作戦でマリアナ群島の飛行場から直接本土攻撃をするB29爆撃機が飛来して、作戦の目的は消えた。先の戦争では多くの日本人兵士が亡くなったが、人数的に多いのは餓死、病死、輸送船の沈没等によって多くの人が亡くなった。実際に戦闘死した人は少ないと感じる。日本の作戦本部の人命軽視が気になる。海軍・陸軍の士官学校を出て、軍隊内の階級上昇闘争で、一般市民は兵器を動かす動物でいくらでも召集令状で来ると思っていたようだ。下級兵士でも育つまでに時間がかかることを知っていたのだろうか。
ウクライナの戦争はロシアの兵士の心の痛まない兵器の使用が増えてきた。これでは戦後処理が長引きアフガンでソ連がタリバンに負け、ソ連が崩壊した。同様に日露戦争で奉天の戦いの後、和平となりロシアは第一次大戦終了間際の1917年2月革命で帝政が終わった。そのあとの西欧の権力闘争が複雑で西洋の情報収集が日本の思考で判断し、敗戦に向かう方向になったということが井上先生の本で良く理解できる。戦前の国会の方が二大政党の力量があったが、ただ軍隊が制御できなかようだ。統帥権の解釈が難癖と今でも思えるが歴史ではよくあることで、京都の方広寺の大仏の梵鐘の文面で豊臣が滅んだ。
今は親ガチャの時代で、特に日本は分断されていて、才能のある人が貧しいゆえの能力が発揮できず、戦前は師範学校と士官学校が残されていた。
戦 |