サイクリングコースの港湾の突堤へ行くと沖に二隻のコーストガードと船体に書かれた船に挟まれたように小さなモーターボートがとまっていた。
よく突堤の近くで不法に操業している漁船がいるので、とうとう今日は取り締まりをしている、と思って、二隻の巡視艇が動き出すのを見守っていると、何故か漁船とおぼしきモーターボートには近づくことも無くだんだんと離れて行ってしまった。
どうしたの、と思っていると、モーターボートが荷揚げ岸壁へ向かって走り出すと、離れていた小さい方の巡視艇が突然全速力でモーターボート目がけて走り出した。ぐんぐんとスピードを上げて行った。追われるボートは荷揚げ岸壁直前で右に旋回した。巡視艇も負けずに急旋回をして追いかける。ボートは益々スピードを増して逃れようとするけれど前方にはもう一隻の巡視艇が待機していて港を出れない。再び船首を右に切って湾内へ向かうと、前方を塞いでいた大きな巡視艇が猛然とエンジンを吹かしてボートへ向かってダッシュした。
二隻の巡視艇からはパンパンと銃声が響いた。
追われるボートは仕方なく停泊中の船に横付けし、逃亡者達が乗り移った。
直ぐ続いて保安官が後を追い、逃亡者は陸へ上がった。
そこには機動隊が待ち構えていて、御用となった。
外国船が殆ど毎日のよう入港する小さな貿易港でのテロリスト対応訓練の一コマだった。
同じコーストガードでも穏やかな瀬戸内海の小さな港と尖閣諸島での活動では全然違ったものだろう。
しかし当地には日本三大急潮の来島海峡があり、全長が2~300メートルもある巨大船から漁船まで、1日に世界各国の700隻もの船が行き交う難所がある。
彼らの活動も尖閣諸島に劣らず大切だ。