先回の「山頭火篠島句」のコメントに遅足さんが、山頭火の訪ねた「井上井月」の墓についても書かれていたこともあり、信州旅行の途中に伊那に立ち寄った。
井月は、幕末から明治初めの人、長岡藩士で江戸に居た時、上信越の大地震で妻・娘・親戚の大半を失う。江戸に送られたのは娘に買い与えた土雛の土くれ二つだったという。武士を捨て芭蕉の足跡を訪ね放浪。伊那に辿り着き、ささやかな庵を持ち三十年間「乞食井月」と言われながら俳句と書に明け暮れる。
しかし、望郷・家族への想いは飲むほどに心に甦ったようである。
初雁や二立ち三立ち越の空
翌日(あす)しらぬ身の楽しみや花に酒
寝て起きてまた飲む酒や花心
遣るあてもなき雛買いぬ二日月
何処やらに鶴の声きく霞かな (辞世句)
井月は、幕末から明治初めの人、長岡藩士で江戸に居た時、上信越の大地震で妻・娘・親戚の大半を失う。江戸に送られたのは娘に買い与えた土雛の土くれ二つだったという。武士を捨て芭蕉の足跡を訪ね放浪。伊那に辿り着き、ささやかな庵を持ち三十年間「乞食井月」と言われながら俳句と書に明け暮れる。
しかし、望郷・家族への想いは飲むほどに心に甦ったようである。
初雁や二立ち三立ち越の空
翌日(あす)しらぬ身の楽しみや花に酒
寝て起きてまた飲む酒や花心
遣るあてもなき雛買いぬ二日月
何処やらに鶴の声きく霞かな (辞世句)