575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ

2016年03月20日 | Weblog
歌集「キリンの子」のなかの一首です。
作者は、鳥居さん。ペンネームです。

  亡き母の日記をよめば「どうしてもあの子を私の子とは思えない」

  花柄の籐籠いっぱい詰められたカラフルな薬飲みほした母

  くちあけてごはんいれてものみこまず死を知らぬ子は死にゆくひとに

  冷房をいちばん強くかけ母の体はすでに死体へ移る

2歳の時、両親が離婚。小学校5年の時、母が目の前で自殺。
養護施設でも虐待を受けました。

義務教育もまともに受けられず、新聞などで字を覚え、
短歌を作りはじめたという。

  渡された本が読めずにルビふりを頼んだ 8日に貰いに来ます

また、紺の制服という連作は友人の鉄道自殺を詠んだもの。

  友達の破片が線路に落ちていて私とおなじ紺の制服

クローズアップ現代にVTRで姿を見ました。セーラー服姿です。

  慰めに「勉強など」と人は言う その勉強がしたかったのです

現代の「貧困」が当事者によってリアルに詠われています。
ドキュメンタリーを読み進むようでした。
あっという間に読み終えました。     遅足


コメント
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