作者の亜子さん曰く「夢でしか逢えない。逢えたと思っても別れがある。自画像の句。」
とてもせつないです。亡くなる人は虹の橋を渡るといいます。夢でもいいからもう一度逢いたい。夢の中でも別れるというのは、夢から覚めた時の落胆が伺えますが、それでも逢いたい。それだけ愛おしい人がいるということはすばらしいですね。お連れ合いを亡くされてから毎日空を眺めておられる亜子さん。秋の虹はきっと亜子さんの心を慰めてくれているはずです。
能登さん:出るも消えるも夢のなか、儚さをうまく表現。素敵です。
泉さん: 夢を見ると見た時覚えている気がするが、起きた時、どんな夢を見ていたんだろうとはっきり思い出せない。
秋の虹ほほえむ父母よ消えてゆく 泉
泉さんは秋の虹を見ることができたそうです。いつもなら何も思わないけれど、じっくり観察しようと思っているうちに消えてしまったそうです。あーこれが「秋の虹」だと。
そんなはかない虹を見ていて、なぜか微笑んでいるご両親を思い出し、懐かしさで胸がいっぱいになりこの句が出来たそうです。
秋の虹逢いにゆけるか黄泉国 晴代
泉さん:秋の虹ははかない。なんだかこの世、あの世の境い目の感じがする。
★★★
雨上がりの夏の虹なら明るく晴れやかな気持ちになりますが、はかない秋の虹は亡き人や愛おしい人を思慕する感じになりますね。秋の虹ならではの句をご紹介しました。麗子