燕の親子の姿を影と声で切り取った遅足さんの秀句。
すっと黒い影がよぎりはっと上を向くと雛の声がする。この句のポイントは下五の「声の降る」だと思いました。
皆さんのコメントです。
竹葉さん:親燕の速さを「はしる影」とは素晴らしいし、親と言わなくても雛が察知して餌をおねだりする声で表すとは本当に感心しました。
能登さん:走る影 声の降る すばらしい。
晴代さん:③の廃校の句とセットのような二句ですね。
千香子さん:影がさっと通り過ぎたと思ったら ツバメの雛の声が 聞こえてきた 降るという表現が 面白いと思いました。
さて、「燕」は春の季語。「燕の子」は夏の季語です。
燕の子口はひし形命咲く 郁子
こちらは巣の中の燕の子の口をクローズアップした句です。「口はひし形」とずばっと言い切ったところがすばらしいと思いました。「命咲く」という表現が評価が分かれるポイントと思いましたが、作者の郁子さん曰く、「雛が大きく口を開けている様子が花のアレンジフラワーのように見えた」ので敢えて「命咲く」という表現にしたそうです。
千香子さん:ひし形の口をして、というのは 当たり前のような気がしたのですが、咲くというので 菱の花 を連想し、 花が咲くように、命が生まれたと表現しているように思って、美しさ、 新鮮さを感じました。
須美さん:口はひし形命咲くが素敵。
亜子さん:◎の句。燕の子の口が「ひし形」であることを発見し、はっきり言い切ったところがよい。また「命咲く」という表現が燕の子の生命力を感じさせる。
童子さん:燕の大きく開けた口を『命咲く』と表されたところが大好きです♡
★★★
今年はまだ燕の子の姿を見ていませんが、あのひし形の黄色の口の中が見えるようなまさに生命力あふれた夏の句だと思いました。かわいい雛の姿早くみたいんな~。麗子
巣立ちした後でも電線なんかにとまって、親を待ち、帰ってくるとすり寄って頂戴頂戴と大変ですよね。ひと夏に何回も卵を産んで孵すとか、生き物は、皆がんばってますね。