575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

一句に一言。     遅足

2014年10月16日 | Weblog

句会での一言です。

題詠「冷やか」

①秋冷や黄瀬戸の肌の温もりを(えみ)黄瀬戸(きぜと)との取り合わせが秀逸。
②冷やかやあったかパジャマ揃えおり(麗子)家族の冬支度を。
③冷やかに光の朝のカトラりー(晴代)毎日の朝食を大切に。
④冷やかに月蝕すすむ雲合間(佐保子)身体が冷えてしまいました。
⑤冷やかや牧水の書を床の間に(遅足)せめて酒の歌を掛けて。
⑥石像の兵らの佇立冷(すさ)まじや(亜子)故人にそっくりの石像は何を訴える?
⑦冷やかに告白軽くいなされて(立雄)夏の恋は終わりました。
⑧冷(すさ)まじや千の団栗踏みしだく(静荷)子らが一斉に。
⑨冷やかに捜さないでの置手紙(狗子)ドラマのような一シーン。
⑩秋冷と天空へ上る(ノボル)野良着かな(結宇)耕して天に・・・
⑪おはようの猫の鼻先ひやひやと(郁子)指先に猫の鼻が。
⑫冷やかに視線をはずす元夫婦(すみ)微妙な関係・・・
⑬秋冷や警策(きょうさく)の音床に鳴る(能登)秋の空気が引き締まります。
⑭幾年月青く冷えたる光追い(智恵)ノーベル賞の光を冷えた光と言いとめました。


自由題
 
①コスモスや風に飛翔のきざしあり(静荷)じーっと見ていると・・・
②果てしなく果ての果てまで彼岸花(亜子)ごんぎつねの里の彼岸花。
③木犀の香りに濡れる言葉です(遅足)木犀の香り溢れる言葉です、とします。
④そっと置く父母の写真に彼岸花(立雄)いつの間にか父や母の齢に・・・
⑤幾度も見に来し萩の散り果てぬ(佐保子)何事にも始めと終わりが。
⑥失恋の肩にポツリと木の実かな(狗子)秋になると思いだします。
⑦一葉づつ染めて散らして秋の雨(晴代)一葉、一葉のいのち。
⑧秋麗駅に降り立つ父と母(麗子)小津映画のような。
⑨恋わずらい軽症ですが秋深し(えみ)本当は重症?
⑩卒寿母医者は要らぬとりんご買う(すみ)医者知らずの母です。
⑪白蝶の野分のあとの弱りかな(結宇)蝶のかれんな姿。
⑫秋風に唱歌の和音なぞりおり(郁子)音符が頭のなかに・・・
⑬御嶽山ひつぎの通る草もみじ(能登)まだ発見されていない方も。
⑭カメラ群赤き陽狙い無言なり(智恵)熟年女性のカメラマン急増中。

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10月句会の投句が集まりました。     遅足

2014年10月15日 | Weblog
今回の題詠「冷やか」は意外に難しかったようです。

題詠「冷やか」
①秋冷や黄瀬戸の肌の温もりを
②冷やかやあったかパジャマ揃えおり
③冷やかに光の朝のカトラりー
④冷やかに月蝕すすむ雲合間
⑤冷やかや牧水の書を床の間に
⑥石像の兵らの佇立冷(すさ)まじや
⑦冷やかに告白軽くいなされて
⑧冷(すさ)まじや千の団栗踏みしだく
⑨冷やかに捜さないでの置手紙
⑩秋冷と天空へ上る(ノボル)野良着かな
⑪おはようの猫の鼻先ひやひやと
⑫冷やかに視線をはずす元夫婦
⑬秋冷や警策(きょうさく)の音床に鳴る
⑭幾年月青く冷えたる光追い

自由題  
①コスモスや風に飛翔のきざしあり
②果てしなく果ての果てまで彼岸花
③木犀の香りに濡れる言葉です
④そっと置く父母の写真に彼岸花
⑤幾度も見に来し萩の散り果てぬ
⑥失恋の肩にポツリと木の実かな
⑦一葉づつ染めて散らして秋の雨
⑧秋麗駅に降り立つ父と母
⑨恋わずらい軽症ですが秋深し
⑩卒寿母医者は要らぬとりんご買う
⑪白蝶の野分のあとの弱りかな
⑫秋風に唱歌の和音なぞりおり
⑬御嶽山ひつぎの通る草もみじ
⑭カメラ群赤き陽狙い無言なり

注・カトラリーは、ナイフやフォークなどの食器類。

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最高・つがいけ   鳥野

2014年10月14日 | Weblog
 その美しさは何度も聞いたけど、丁寧な
説明も聞いたけど、実際に見てみないこと
には、と思っていました。
その願いが叶い「栂池の紅葉」に出会うこ
とができたのです。
折りから栂池は紅葉祭りの真っ只中。お天
気も上々と言う幸運。

ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継い
で、一気に標高1800へ。目の前に迫っ
て来る山肌の紅葉に歓声があがります。
ロープウェイを降りれば、栂池自然園は間
近。白馬乗鞍岳の東南山腹に位置し、中部
山岳国立公園の一角に指定されています。
眺望は抜群。見渡す限りの山肌が色とりど
りに燃えたって、息を呑むばかり。
ナナカマド、カエデ、ハゼ、ウルシ、コナ
ラ、ダケカンバ・・・、落葉樹の全てが、
それぞれの色に燃えています。
園内散策組の傍らをトレッキングのグルー
プが出発です。
クマ除けの鈴を鳴らして。

 ・ もみじして栂池百千の彩に燃ゆ 鳥野
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龍宮の夢の名残りや珊瑚草   遅足

2014年10月13日 | Weblog
北海道旅行の最後に訪れたのが網走の能取湖(のとろこ)。
汽水湖の岸は一面の珊瑚色でした。
サンゴ草の群落です。
茎の部分は秋になると紅色に変化。
写真のように一面の赤い岸辺となります。

正式には厚岸で発見されたのでアッケシソウと言います。
ヨーロッパで野菜として食べてもいるとか。
塩味があり、そのままゆでて食べるそうです
どんな味がするのでしょうね?

サンゴ草を秋の季語とする歳時記もあります。

           

台風が東海地方にも接近中。日本中が要警戒です。
我が家も植木鉢などを物陰に避難させました。
みなさんも十分注意して下さい。





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羆に遭遇したら?       遅足

2014年10月12日 | Weblog
私たちの乗った観光バスは網走バス。
網走バスは最近まで名鉄グループだったとのこと。
冬は雪道の運転に慣れた運転手さんが応援に名古屋へ。
ガイドさんも仕事の少ない冬は名古屋へ。
出張先で結婚するガイドさんも結構いたそうです。

私たちのガイドさんはHさん。
7人の観光客と知床の散策路を歩いて羆に遭遇したそうです。
一番危険なと言われる出合い頭でした。
わずか2米の距離に羆が出現。

危険なのは後ろを見せて逃げること。
羆は時速50キロで走り、人間はとても逃げ切れません。
また目を離してもいけないそうです。もちろん睨んでもダメ。

Hさん「走ラナイデ」「走ラナイデ」と叫び続けて・・・後退。
600米ほど下がって、断崖に追い詰められてしまいました。
羆も立ち止まりました。
8人の顔をゆっくり見渡して・・・
羆は来た道を帰っていったそうです。

茫然自失の8人。
降りだした雨が本降りになっても、誰一人気付かなかったとか。
Hさんは、今でも夢に見るそうです。








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知床の五つの秋をめぐりけり  遅足

2014年10月11日 | Weblog
知床五湖は、自然遺産のなかにある5つの湖。
一湖から五湖まで名前がついています。
まずフィールドハウスで20分のレクチャーを。
注意点は、羆に対するものが中心。
お菓子や食べ物持ち込み禁止。水とお茶以外の飲物の禁止。
羆は鼻がとても優秀、美味しいものは鼻で分かるとのこと。
人が持っていることを学習すれば、襲われることも・・・
(安易に餌をやりたがる気持ちはダメですね。)

立入認定証をもらって出発。
ガイドツアーの方に説明によれば、白樺は森が新しい証拠。
知床には戦後、開拓の鍬が入りました。
あの横綱・大鵬さんも、戦後、樺太から知床へ。
子供時代を過ごした場所が今の自然遺産のなかでした。
こうした人間の手の入ったところには、まず白樺が。
白樺は次第になくなり、最後はエゾ松などの原生林になるそうです。

知床連山や原生林を水面に映す5つの風景を堪能しました。
写真は5つのうちの一つです。どれだったかな?



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泥沼に 麗

2014年10月09日 | Weblog
九州に住む叔母が川柳を楽しんでいるとのこと。
友というお題で作った句の評判がよかったそうです。

泥沼に浮き輪を投げてくれた友 叔母


私もこの夏泥沼にいる日々でしたが、
何度も友の浮き輪に助けられました。
やっとブログも再開できそうです。
またよろしくお願いいたします。麗
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死ぬために帰るふるさと銀鮭は堰を越えんと群れとなりたり   遅足

2014年10月09日 | Weblog
鮭がふるさとの川に帰ってくる時期。
オホーツクの海岸には釣り竿がずらっと並んでいました。
定置網漁も最盛期。ウトロ港には、毎朝、漁船が入港。
盛んに水揚げされています。ジジザケとババザケは缶詰用に。
若い鮭は魚市場へ出荷されていくとか。

川の淀みには鮭が集まってきます。
それを狙って羆が現れます。
その羆を見ようと船に乗りました。
岸の近づくために船は小さくて、欠航の日も多いとか。
海が静かなこの日は幸い船が出ました。

いくつかの河口を見ていきますが、羆の姿はありません。
確率は30%だとか。
これはダメかな?と諦めかけていた時、「右2時の方向にクマ!」と言う声。
揺れる舟の甲板を踏みしめて目を陸に・・・
岩の色と羆の色とがよく似ていて、なかなか見つかりません。
やっと見つけました。

  母熊に小熊小熊とあらわるる

親子の熊3頭でした。揺れが大きく写真は撮れませんでした。
写真は知床岬です。遠く国後も見えました。

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10月句会近づく    遅足

2014年10月08日 | Weblog
今回の題詠は「冷やか」です。
冷ゆ、ひやひや、秋冷とも。
石や板の間につめたさを感ずる。そんな季語です。

秋の初めは「新涼」。中ごろが「冷やか」
「冷(すさ)まじ」は晩秋。
そして「冷たし」は冬の季語です。
日本人らしい細やかな感性ですね。

冷やかさを五感のどこで感ずるのか?
図書館の書庫などのひんやりとした空気。
肌で感じた冷やかさです。

  ひややかに梁(やな)こす水のひかりかな  久保田万太郎

  ひややかに卓の眼鏡は空うつす  渋沢渋亭

視覚で捉えたもの。

  秋冷の路地まがりゆく女下駄   遅足

耳でと、つくってみました。
鼻だと、どんな句が生まれるのでしょうね?


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クマ出没   鳥野

2014年10月07日 | Weblog
「またクマの目撃情報だよ」ハンドルを握って
いた友人は話を中断して、窓のガラスを下し、
情報に集中。

車は大町市にさしかかっています。
クマの出没。このところ、終束に向かう気配な
し。先日は、市の中心部の商店街に。
通学、通勤、買い物も危険、と市は警察や消防
と協力して、広報活動やパトロールを強化して
います。

巨大で凶暴なヒグマは別にしても、ツキノワグ
マは縫いぐるみや、ユルキャラの主役。とりわ
けて、母子連れもあると聞けば、怖いもの見た
さ、つい口走り、一喝されてしまいました。
大きな被害も出て、地元のの苦労は大変なので
す。

翌日は栂池の紅葉を訪ねる計画。

 ・ クマ除けの鈴鳴らしつつ紅葉山  鳥野
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台風18号上陸        遅足

2014年10月06日 | Weblog
大きな台風18号が浜松付近に上陸。名古屋はもう風も雨もおさまってきました。
関東はこれから暴風雨が強まります。十分気を付けて下さい。

               

写真は知床のエゾシカです。
先日、世界自然遺産10年目を迎えた知床へ行ってきました。
道路わきに出て来たエゾシカの雄。
立派な角を持っています。5歳くらいでしょうか。
雌と子供の鹿もみました。
今は冬を前にひたすら栄養を蓄える時期。
雄にとっては恋の季節でもあります。
子孫を残すための激しい戦いの日々。

寿命は平均で、雌が10年、雄は5年だそうです。
冬を前の大切な時期。雄は恋に命をすり減らす結果、短命だとか。
春に生まれた仔鹿の多くは、冬が越せずに死んでいくそうです。

世界遺産になり、少し様子が変わりました。
道路の整備で斜面の雪が比較的深くならずに、死ぬ仔鹿が減ったそうです。
その結果、森の木の皮が鹿に食い荒らされることに。
また、蕨など鹿の嫌いな草も増え、生態系に変化が・・・。
今は増えすぎた鹿を捕獲しています。

10月1日、羅臼岳に初冠雪。厳しい冬が近づいてきました。

  知床の月におもたき鹿の角   遅足


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モリカズのさみしい猫と蟻が好き      遅足

2014年10月05日 | Weblog
岐阜県美術館へ「熊谷守一・展」を見に行きました。
初期から晩年まで400点の作品。
さすがに疲れました。
最初は學校で学んだ油絵を描いていました。
初期に轢死体を写生して油絵に仕上げ、展覧会に出しました。
しかし展示はされなかったようです。
ちょっと変わった人ですね。
早くから死に強い関心を持っていたようです。

そして次第に、形も色も単純化。
あの熊谷スタイルが生まれていく過程を興味深く見ました。
スケッチは、17文字に削って削って詠む俳句のようです。
そして色をのせて31文字の短歌に。
どこかに寂しさがあります。

あの絵は、直観ではなく科学的な知識に裏打ちされたものだそうです。

(写真はメナード美術館で買ったカレンダーです)



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火だるまの秋刀魚に猫のあとずさり   狗子

2014年10月04日 | Weblog
猫が秋刀魚を咥えて逃げる。
割烹着の主婦が追いかける・・・
そんなシーンがサザエさんにあったような記憶が。

七輪の秋刀魚を狙っていた猫が燃え上がった炎に思わず・・・
コミカルな一句です。

我が家にも時々野良猫が出没します。
秋刀魚にありつくことは出来ません。
野良猫に餌を与えないようにという通達が出ました・・・
以後、猫の数は減少中のようです。

  火中なほ火を噴く秋刀魚沖荒るる   山崎秋穂

                    (遅足)

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さんま食う骨美しく残しけり   すみ

2014年10月04日 | Weblog
秋刀魚を上手に食べていく一家。
お金持ちではないけれども、躾のしっかりした家庭。

  秋刀魚焼く卓袱台に父母ありし日よ   岡野美代子

こんな風景を思い出させる一句です。

作者は子供達に、誰が上手に魚を食べるのか?と
競争させているとのこと。上手な躾の仕方ですね。

自分が親になって初めて気の付くことが。
魚の食べ方の下手な私には耳の痛い句。    遅足




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秋刀魚はね100円切るまで買わないの   麗子

2014年10月01日 | Weblog
口語を生かした軽快な句です。
秋刀魚漁は、毎年7月8日に解禁。
さんまの初値は1尾1000円だったそうです。
8月中旬からは、大型船による漁が解禁。
値段はグッと安くなります
そして100円を切る時が来ます。
最盛期に1尾200g以下のものが特売で100円以下に。

   終値の秋刀魚二匹を買いにけり   本間みち子

100円をきれば、こんな所にも秋刀魚が。

   配膳車秋刀魚の匂い配りくる   城木タネ女

          
                    
初サンマ値踏みする目に細き光   郁子

光は「こう」と読むそうです。
マンガなどに目がキラッと光る表現法があります。
そのキラリを細き光と喩えました。

口先は黄色?
脂はのっているかしら?
この値段、去年より高い?
一瞬の間に様々なことを考えています。

  空真つ赤妻に秋刀魚を買はせをり  町田しげき

秋刀魚好きな人でしょうね。
夕飯は秋刀魚といわなくても以心伝心。
帰宅すれば食卓には秋刀魚。

                    (遅足)

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