575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

長閑句会の投句が揃いました。

2022年04月19日 | Weblog

世界は長閑ではありませんが俳句の世界だけでも穏やかであってほしいです。

「長閑」投句

①     のどかなるメトロノームにみちびかれ  

②     カレンダー予定なき日の長閑なる 

③     留守番の花がら摘みの長閑さや 

④     シャバーニのあくびの仕種のどけしや 

⑤     たそがれに妻とのどかな散歩道  

⑥     傾聴の流るる時の長閑なり 

⑦     長閑さやポテトチップス陽の香り 

⑧     のどかさや平和ありての猫あくび 

⑨     尼寺の 媚び売る猫は うららけし 

⑩     長閑さやぶらんぶらんの象の鼻 

⑪     のどけしや八十路迷ひて燃ゆる花 

⑫     花の下吾子の眠りの夢長閑 

⑬     長閑さや昭和の集ふ喫茶店 

⑭     のどけさも眼(マナコ)さえぎる虫いくつ 

⑮     ひばり高く矢切の渡しのどけしや 

⑯     長閑さや土手に寝ころびお弁当 

 

自由題

①     絶望と希望のはざま桜咲く 

②     すりおろすりんごの香り妻つつむ 

③     病める人わがままばかり春の昼 

④     雀二羽さくら花ごと散らしてる 

⑤     春天に 手話で描きし 烏克蘭<ウクライナ> 

⑥     白木蓮や戦地の児等の涙跡 

⑦     級友の距離馴染みゆく若緑 

⑧     約束日千紫万紅花揃う 

⑨     鴇色の傘春霖の交差点 

⑩     五月未だアザレアはかの地ザマスターズ 

⑪     廃村の 愛でる人なき 夕桜 

⑫     流れゆく花の輪二つ残り鴨 

⑬     茜空クレオパトラの豆の花 

⑭     多種多様喜び溢るチューリップ 

⑮     遅き日の外構工事進みおり

⑯     花筏自由と平和どこまでも 

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千回の 刹那眺めし 桜散る <殿>

2022年04月19日 | Weblog

「千回の 刹那眺めし 桜散る」Look at the moment of a thousand times Cherry blossoms fall.
 
1,000年の命といわれる神代桜。人の一生など刹那の出来事でしょう。1,000回目の花が散っていきます。Kamiyo Sakura is said to have a life of 1,000 years. It will be a momentary event such as my life. The 1000th flower will be scattered.
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雨打たれ 崩れし花の 生命逝く <殿>

2022年04月18日 | Weblog

「雨打たれ 崩れし花の 生命逝く」The life of a flower that is struck by the rain and collapses is gone.
 
植物園に降る春の冷たい雨。カタチが崩れ花の生命が去って逝きます。Cold spring rain falling on the botanical garden. The shape of the flower collapses and life is gone.
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子の背なに 母子の名記す 春悲し <殿>

2022年04月17日 | Weblog

「子の背なに 母子の名記す 春悲し」A mother who names her mother and child on the back of her child. Sad spring.
 
幼な子の背中に自らの名と子の名前を記す母親。戦禍での身元確認のためとの由。凄惨なニュースが流れる春。ちなみに「ひまわり」はウクライナの国花。A mother who writes her name and the child's name on the back of a young child. She said she was to confirm her identity in the war. Spring with terrible news. By the way, "sunflower" is the national flower of Ukraine.
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長閑なる 真昼匂ひて 少女撮る <殿>

2022年04月16日 | Weblog

「長閑なる 真昼匂ひて 少女撮る」Beautiful midday smells I take a girl.
 
真昼の日差しが匂うランチタイム。長閑な駒沢公園にシャッターの音が響きます。
Lunch time with the scent of midday sunshine. The sound of the shutter echoes in the beautiful Komazawa Park.
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桜湯の塩気の中に思う明日  須美

2022年04月15日 | Weblog

結婚の祝い事などに重宝する縁起の良い飲みもの桜湯

今満開の八重桜の花の塩漬けを使います。

作者の須美さんは

「桜湯は桜の華やかな香りはあるものの、見た目と違い塩味でふと明日からの人生を思う」と実際に飲んでみての違和感を巧みに句にされました。

皆さまからのコメントです。

殿さま: 桜湯は祝い事の席で喫します。しかし中七の「塩気」によりかすかに否定された感。作者の思う明日。春の憂いが漂います。

紅さん: お祝い事に用いられる桜湯。その幸せを口にした時、塩気にハッとする。 奥行きの深い句だと思います。

晴代さん: 塩気を感じる明日、ぴりっといきましょう 

 

春爛漫。いつもなら浮かれ気味のこの季節ですが、どうもそんな気分になれないのがウクライナの侵攻と予断を許さぬコロナ感染状況ですね。

そのうち終わるものと楽観し、あえて目を伏せ楽しみに興じているうち、取り返しのつかないことにならないか。違和感が日ごと募ってきています。小さな違和感やひっかかりを見逃さず暮らしたいものと思います。

 

今月の兼題は「長閑」です。こんな句を見つけました。

 のどかさの風鐸空に壊れおり 爽雨

風鐸とはお寺の軒や高い塔に吊り下げられた青銅製の鈴のこと。強い風が吹くとカランカランと音をたて、飛んでくる「災厄」や「疫病」を祓う役目があるのだとか。

その風鐸が壊れている?・・と思うと、少し心配になる「のどかさ」と言えそうですね。( 勝手な解釈ですみません )ここは大いに打ち鳴らしたいところです。

四月句・発表は20日です。どうぞお楽しみにしてください。  郁子

 

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はこべらの小さき花やウクライナ  佐保子

2022年04月14日 | Weblog

数か月前にはまさかウクライナが俳句に登場する世の中になるとは思いもしませんでした。2月24日のロシアのウクライナ軍事侵攻以来、報道を見る度に人類の繰り返す愚かさと恐ろしさにやるせない気持ちが募ります。はこべらの花は小さくてはかなげですが、春の七草のひとつ「はこべら」には意外に強い生命力があるような気がします。この地上はつながっているのに、どうしてこのような侵攻が起きるのでしょうか?

佐保子さんが足元にみつけたはこべらの小さい花。ウクライナの人への祈りの俳句だと思いました。

選句された郁子さんも「ひとつひとつの花がちいさな白い粒のようにみえるこはこべは、よく見るとさらにちいさい花弁をきっちり広げている。野に咲くひかえめな花とウクライナを重ねたのでしょうか。けっして儚くない主張のある野に咲く花。」というコメントを下さいました。

      寝もやらず燃ゆるキエフの春願う  

同じくウクライナのことを詠まれた紅さん。ウクライナの首都キエフがウクライナ語の「キーウ」に呼称が変わってしまいました。寝もやらずという表現に緊張感がみなぎる秀句だと思いました。

殿様:通俗的になりがちな時事句を「寝もやらず」眠ることもできないという古語により品位を保ち簡潔にまとめています。世界を見据え、多くの読み手の共感を得る佳句。

亜子さん:今の思いをよく詠んで下さり感謝します。ウクライナのために何もできないやるせない気持ちでせめて募金でも思っています。

千香子さん:現代の戦争に勝ちも負けるもない。1日も早く終わることを願う。

          ★★★

映像を見るとまだまだ凍える寒さのようなウクライナ。今後どうなって行くのか。連日の報道にもう悲惨な映像を見たくないという気持ちも起きて来ます。それではいけないのでしょうが、本当の春が来る日を願ってやみません。麗子

 

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ひとひらに 微熱残れり 花しぐれ <殿>

2022年04月13日 | Weblog

「ひとひらに 微熱残れり 花しぐれ」Flower rain that leaves a slight fever in one palm.
 
あたたかさが残るような花びら。しぐれのように桜が散っていきます。Petals that retain the warmth of spring. The cherry blossoms are scattered like a “shigure”.
 
 
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春暁に この世たゆたう 海眺む <殿>

2022年04月12日 | Weblog

「春暁に この世たゆたう 海眺む」A view of the world's ocean swaying in the dawn of spring.
 
揺れるこの世。払暁の春。海を眺めます。
This world is uncertain. Spring of dawn. I look at the sea.
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生真面目な 無垢なる脚に 風光る <殿>

2022年04月11日 | Weblog

「生真面目な 無垢なる脚に 風光る」The wind shines on the serious and innocent legs.
 
撮影スタッフのからかいに戸惑う少女。真面目な性格のようです。南房総を巡る収録のひととき。
A girl who is confused by the teasing of the shooting staff. She seems to have a serious personality. A moment of travel around “Minami Boso”.
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城跡の 宴偲びて 桜咲く <殿>

2022年04月10日 | Weblog

「城跡の 宴偲びて 桜咲く」Cherry blossoms bloom in memory of the feast of the castle ruins.
 
頼朝と不仲になった義経は静御前とともに吉野に逃れます。しかし静御前は捕縛され鶴岡八幡宮で頼朝の前で舞を披露することになります。「吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき」<吉野の雪山に入ってしまった義経が恋しい>静御前の壮絶な舞いには誰もが心を動かされたようです。ちなみに、鎌倉幕府の城である政所は鶴岡八幡宮に隣接。現在の雪の下の辺りでしょうか。
 
Yoshitsune, who has become unfamiliar with “Yoritomo”, escapes to Yoshino with “Shizuka Gozen”. However, “Shizuka Gozen” is arrested and will perform a dance in front of political opponents at “Tsurugaoka Hachimangu”. "I miss the traces of people who entered the snowy mountains of “Yoshinoyama" <I miss Yoshitsune who entered the snowy mountains of “Yoshino”> It seems that everyone was moved by the spectacular dance of “Shizuka Gozen”. By the way, the government office, which is the castle of the “Kamakura Bakufu”, is adjacent to “Tsurugaoka Hachimangu”. Is it around the current “Yukinoshita”?
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降る雨に 人なき校舎 春惜しむ <殿>

2022年04月09日 | Weblog

「降る雨に 人なき校舎 春惜しむ」An unmanned school building where it rains. I miss spring
 
記念館となった廃校。桜を散らす冷たい雨が降ります。
Closed school that became a memorial hall. It will rain cold to scatter the cherry blossoms.
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啓蟄や花丸つけし退院日  麗子

2022年04月08日 | Weblog

 三月句会。自由題のトップ賞はこの句でした。

誰もが共感し、喜びを分かち合う明るい気持ちになりますね。

選句された方のコメントです。

 

竹葉さん:外に出るのが楽しみな「啓蟄」と「退院日」の取り合わせはまさしく花丸です。

須美さん:花丸が好き。冬籠りの虫が這い出る日に患者も病院から出る。ほっこりする。

結宇さん:おめでとうございます。 丁度、虫の動き出すころですものね。 元気な気持ちでまいりましょう。

千香子さん:季語の「出てきた」という感じが効いていると思いました。

晴代さん:退院はうれしいこと、啓蟄の季語が良いと思います。

泉さん:北国の春が浮かぶ。

亜子さん:私もカレンダーに花丸をつけました。啓蟄と退院が響き合っています。

私もいただきました。季語がとてもきいていますね。

今日 4月8日は お釈迦様の生まれた日「花まつり」

桜ばかり注目していましたが、気づけば様々な春の花が咲き揃い 色とりどりに喜びを表わしているようです。

一番活気のあるシーズンですね。

今日も花丸の一日になりますように       郁子

 

 

 

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クレーンのくの字一の字春の空  晴代

2022年04月07日 | Weblog

最近、高層ビルの工事が多いせいか、怖いくらい大きなクレーンを見かけます。大空に字を書くような「くの字」のようなクレーン。まっすぐに伸びる「一の字」のクレーン。春の空に描かれる壮大な文字。

作者の晴代さんからは投句の際、一言「アームの形が女性を応援しているようにみました。」と添えられていました。折りしも、投句の締め切りは3月8日の「国際女性デー」の頃でした。(国際女性デーは1904年、ニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起源となり1975年3月8日に制定されたそうです)

そうなのです。「くの字一の字」は春の空のクレーンを、女という文字(くのいち)に見立てておられたのでした。その感性とその歴史観に脱帽しました。それでは皆さんのコメントです。

竹葉さん:「くの字一の字」がとても独特な表現で素晴らしいと思います。

千香子さん:くと、字のリフレーンが効いていてとてもリズムが良いと感じました。

郁子さん:クレーンのアームが空をバックにくの字を浮かび上がらせる。これすごい発見だし、ほとんどの人がなるほどと思うでしょうね。解体バブルと言われているが、街のようすも変わっていく。始動の春にふさわしい一句と思う。

殿:クレーンが伸びて空に一の字を描いたのでしょう。エキセントリックな視点と韻のまとめ方に惹かれます。

               ★★★

遅足さん、佐保子さんも採られていました。晴代さんはマンションの窓からよく空を見ておられ、遠くの景色を詠まれていることが多いです。以前、「秋思あり肩に雲おき御嶽山」という句も作っておられます。これからも四季折り折りの空の句を詠んでいただきたいです。

それにしてもこの春、全ての女性への応援句として心に刻みたいと思いました。麗子

 

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春眠の 夢追いかけて 路地の猫 <殿>

2022年04月06日 | Weblog

「春眠の 夢追いかけて 路地の猫」Alley cat chasing the dream of spring sleep

 

眠りに就く猫。夢を追いかけているのでしょうか。西麻布の路地裏。穏やかなひととき。A cat that goes to sleep. Are cats chasing dreams? Back alley in Nishi-Azabu. A calm time.

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