「眠れない夜」は泉谷しげるで、「眠れぬ夜」はオフコースだったな。
そんなことを思っているうちは、まだよかった。
だが、夜が明けてしまったときには、さすがにあせった。
昨夜は、ほぼ平熱に戻って、やれやれよかったなあと思いつつ、風呂に入り10時過ぎに寝床についた。
明日はもっと体調がよくなるだろうから、あれもしたいこれもしたいといろいろ考えたが、とにかく寝ようと決めて消灯したのが午後10時16分。
ところが、なかなか眠くならない。
日中昼寝をしたからだな、と考えて眠くなるのを待った。
ところが、やっぱり眠くならない。
風呂に入って温まったはずなのに、どうも足先が冷たい。
靴下をはき、大ぶとんに加え、毛布を1枚追加した。
それなのに、背中も寒く感じるようになって、仕方ないな病気療養中だから、としまってあった電気毛布を取り出して低温で使うことにしたのが、11時半頃。
何分かでその効果が表れ、体の寒さはなくなってきた。
やっとこれで眠れるかな、と思い、眠くなるのを待った。
だが、いっこうに眠くならない。
仕方がない、羊でも数えるか、と「1,2,3…」とゆっくり数を数えていった。
ところが、やっぱり眠くならない。
もう時計は12時6分、真夜中を過ぎていた。
仕方がない、もう1回トイレに行っておくか。
小用を足し、寝床に戻ってふとんをかぶり、
「そのうちなんとかなるだろう」と、植木等の歌い文句を唱えつつ、横になって2時間も経つのだから、そろそろ本当に寝たいなと思った。
ところが、1時を過ぎて今度は2時も過ぎてしまった。
草木も眠る丑三つ時というのに、臭木じゃない私は眠れない。
それどころか、今度は熱さを感じるようになった。
電気毛布のスイッチを切り、かけた毛布を蹴飛ばしてふとんの外に出し、靴下を脱いだ。
それでも熱いって、まさか…。
まさかと思い、体温を測ると、
「なんじゃ、こりゃあ~。」と、今度は「太陽にほえろ」の松田優作が演じたジーパン刑事のセリフが出た。
熱が、38.4℃もあった。
またまた夜中に発熱したのである。
薬も飲んでいるのに、毎晩、毎晩…「なんでとこうなるの?」と今度は萩本欽一が飛び出した。
3時前後には近所で、車庫のシャッターを開けて朝から仕事に出るような音や、早い新聞配達のバイクの音も聞こえた。
ずっと眠れずに寝床にいるから、腰が痛くなってきた。
何度も寝返りはうったのだが、横になっていること自体が苦痛になってきた。
3時半を過ぎ、体温はやはり、38℃を超えている。
4時を回ると夜明けが近い。
4時26分、早起き鳥の鳴く声が、朝が来たことを告げていた。
「だめだ、こりゃ」いかりや長介のあの決めゼリフが頭の中を回っていた。
今まで、寝ようと思ってふとんに入ってから眠れないことは数々あったが、こうして朝が来るまで眠れなかったことはなかった。
眠りたいのに眠れないことは、こんなにもつらいことなのかと、うちの母を含めた高齢者が医師に眠剤を出してもらうのをよく見ていたがその理由が分かるような気がした。
なにしろ、眠ろうと思ってふとんに入って目をつぶってから、もう7時間近くがたち、明るくなって5時を過ぎていた。
5時を過ぎて、ふっと意識がなくなった時間ができた。
わずか5,6分くらいの短い時間だったが、「あ、今の自分、少し眠れた!」と思った。
すごくうれしかった。
こんな短いうたたねがうれしいなんておかしいよな、と思いながらも、満足した。
だが、やはり7時近くまで眠れず起きることにした。
体の具合が悪いなら、普通は眠れるものだろう。
ましてや熱まで出てるのに。
それなのに、目がさえて眠れないって、この不調ってどういうこと?
不思議なもので、朝になって体温が下がり、朝食後は36.7℃に落ち着いた。
午前中は眠れなかったが、午後に1時間半余り昼寝ができたときには、ホッとした。
すみませんね、こんなバカみたいなブログ読んでいただいて。
でもね、また夜が来てしまったのです。
夜、寝るのが怖く感じる、発熱の数日間、そして昨夜の不眠体験なのであります。
さて、今夜は…???