ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「脱・限界集落株式会社」(黒野伸一著;小学館)を読む

2024-05-27 20:05:04 | 読む

移住の一番の理由が住まいの提供があって、安価だということ。
そんなことで地方に移り住んだ、やる気があるとは言えない若者が、少しずつ変わっていく、というか成長していく。
そこには、太っ腹なじいさんやばあさんがなかなかの役割を果たしている。
そんな話で始まっていくが、やがて話の中心は、巨大資本をバックにした大型ショッピングモールと地元商店街との、駅前シャッター商店街の再開発をめぐる対決に移っていく。

主人公の一人である若者健太が、地方・田舎の人々とふれ合うことによって、商店街を盛り上げながら、少しずつ成長していく。
そこにはちょっぴり恋愛の要素も入るのだが、そういうことがまたいいアクセントになっている。

さて、巨大資本をバックにした大型ショッピングモール対さびれた地元商店街の一部の住民たち。
どうすれば後者が前者に勝てるのだろう、と思いながら読み進めていった。
田舎に住む人間にとって、都会への憧れや便利さは大きい。
大型ショッピングモールには、それがあるからそれを売りにする。

後者が大切にしていくものが、田舎そのもののよさ。
たとえば、農産物の食べ方、活かし方。
たとえば、若者から高齢者まですべての人に対する思いやり。

普通は、大型モールの一人勝ちになる地方が多いのが現実だろう。
最初は、対立の構図から、どうやって力のない者たちが力のある者に対して、逆転して勝っていくのだろうと思いつつ読んでいたが、途中で考えが変わった。
開発を打ち出す大型ショッピングモールも必ずしも悪いところばかりではない。
田舎の人間にはあると便利だし、助かる部分も多い。
だけど、みんながみんな大型モールみたいになる必要もない。
大型モールには出来ないことだってあるのだ。
だから、両立できるようにするのが理想なのだ。
どちらも、キーワードは「人を大事にする」ことなのだ。
そこから外れて行ったとき、破たんを招いてしまうのだ。
本小説は、そんなことを言ってくれているような気がした。

本書は「脱・限界集落株式会社」だったが、その後この話は続編にあたるらしいと知った。
同じ著者が、「限界集落株式会社」という小説を書いていて、それが前編になるようだ。
途中から重要な働きをする人物たちは、その前編でも活躍していたと聞いた。
順番が逆になったが、それでも「脱・限界集落株式会社」は、十分楽しめた。
そのうち、前編に当たる同じ著者の「限界集落株式会社」も読んでみよう。
コメント (2)
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