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キツネノカミソリとは
日本の東北より南の地域に自生する球根植物です。雑木林の中やその縁辺、日の強すぎない北側の傾斜地、里山や神社の境内などでよく見かける夏咲きの野草で、関西平地ではお盆頃によく見られます。お彼岸頃に真っ赤な花を咲かせるヒガンバナと同じ仲間(リコリス属)で性質も似ています。
早春から初夏にかけて地際から帯状の葉をたくさん茂らせ、夏になると葉が黄変して枯れます。8月の中頃に花茎を30cm~50cm伸ばして、その先端に赤オレンジ色の花を数輪咲かせます。葉っぱのない状態で地中(球根)からにょっきりと花茎を伸ばすので、地面からいきなり花が咲いたように錯覚させられます。葉っぱだけの時期は案外気づかないものです。
タネがよくできて、球根も増えるので群集していることが多いです。球根は径3cm~4cmで、一概には言えませんが、先端の首部分が長く伸びたイチジク浣腸のような形をしたものが多いです。
上ノ入遺跡(神奈川県平塚市)からは、キツネノカミソリと思われる炭化した球根が出土しており、縄文時代には食用にされていたのではないかとも言われています。球根は良質のデンプンを含有しますが、毒性のある物質も含まれており、普通そのままでは食用にできません。引用元。