阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
1942年生まれが江戸川区から。

#7日間ブックカバーチャレンジ     3日目   「何でも見てやろう」

2020年05月11日 | 乱読は楽しい
「何でも見てやろう」 小田実 昭和36年発刊。

日本を占領したアメリカはフルブライト基金で、将来 日本の各界でオピニオンリーダーになると目した優秀な若き日本人を多数アメリカの大学へ留学させた。
小田は留学を終えた後すぐには帰国せず、欧州はじめ世界を貧乏旅行で回った。この本はその見聞に基づいて書かれた。
 アメリカの恐ろしさの一つに反米的な見方をする人間をも拒否しない懐の深さがある。
この本を浪人生の時に読んだことで、ぼんやり憧れを持っていたアメリカと言う国の表裏実体を知ることが出来た。
特にテイムド・インデアン(tamed indian)と言うこの時知った言葉はインパクトが大きい。
インデアンをせん滅するときにアメリカの騎兵隊がまずやったことは、
インデアンの中の上流階層に属する者をまず手なずける(tameする)。彼からその部族の内部の情報をとり戦いや統治をやる。
日本を占領したあともアメリカは同じ手法を使っていると小田は言う。直接統治ではなくtamed Japaneseを使って日本を統治するのが一番効率がいいと。
アメリカが実際はボスでもそれを見えないようにする方法だと。
 インドを占領したときに英国が編み出した手法だと。
そのほかいわゆる欧米諸国に対し持っていた、わふわした幻想をこの本は振り払ってくれた。

そして「人間みなちょぼちょぼや」と思って今も自分が生きているのは小田の信条のおかげだ。

 小田が亡くなる一年ほど前にJR芦屋駅のホームで快速を待つ彼のすぐ後ろに並んだことがある。
肩幅が広くこって牛のようにぶ厚い彼の背中に思わず声をかけそうになった。「エエ本かいてもろてありがとさん」と。

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