2012年02月22日(水)
「班目発言」火消しに躍起 政府 再稼働の妨げ、懸念
2012年2月22日 東京新聞 朝刊 原発の再稼働条件となる安全評価(ストレステスト)の一次評価に関して、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長が「安全性の評価としては不十分」と発言したことを受け、関係閣僚は二十一日、火消しに追われた。「班目発言」が今後の再稼働判断の妨げになりかねないとの判断からだが、国民が不安視する再稼働をめぐって、政府内の発言は迷走している印象だ。 (関口克己) 藤村修官房長官は同日の記者会見で、班目氏の発言について「再稼働は総合的に政治が判断する。班目氏も一次評価で再稼働を判断する政府方針を否定しないと言っている」と述べ、沈静化に躍起になった。 政府は、再稼働の手続きについては(1)耐震性に余裕があるかないかを判断する一次評価を電力会社が行う(2)経済産業省原子力安全・保安院がそれを「妥当」かどうかを判断する(3)原子力安全委がその評価をチェックした上で、最終的に野田佳彦首相と関係閣僚が政治判断する-としてきた。 チェック役を果たす立場の安全委のトップが、一次評価のあり方に疑問符を付けるとなれば、政府が目指す再稼働に向けた流れに「待った」がかかりかねない-。藤村氏は「安全を判断するのは保安院だ」と強調。細野豪志原発事故担当相も会見で「安全委は再稼働の可否のような実質的な判断をする機関ではない」と指摘し、再稼働に対する安全委の関与を薄めるかのような発言を繰り返した。 政府が発言の沈静化を急ぐ一方で、再稼働への不安は強まるばかりだ。 藤村氏が重視する保安院にしても、東京電力福島第一原発事故当時にトップを務めた寺坂信昭前院長は十五日に開かれた国会事故調査委員会で「(保安院の能力は)専門性や知見、習熟度において、米国などと比較すると十分でない」と述べており、保安院の判断に対する信頼は揺らいでいる。 首相は昨年九月の所信表明演説で、再稼働の条件を「安全性を徹底的に検証・確認する」と掲げたが、その看板は色あせてきた。 |
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福島10市町村がコメ作付け 「国の制限受け入れ難い」
2012年2月19日(日)08:15 河北新報 福島県の2011年産米から1キログラム当たり100ベクレル超500ベクレル以下の放射性セシウムが検出された地区について、国がことしのコメの作付けを制限する方向性を打ち出したことに対し、該当する12市町村(56地区)のうち10市町村が国の考えに反して例年通り作付けする方針であることが分かった。市町村の担当者は「作付け中断は耕作放棄と離農を招き、受け入れ難い」と話している。 10市町村は福島市、伊達市、本宮市、田村市、白河市、川俣町、桑折町、国見町、大玉村、西郷村。河北新報社の18日までの取材に、いずれも「ことしも作付けしたい」と回答した。残る二本松市と相馬市は「国の判断を待つ」と結論を留保している。 福島市で100ベクレル超500ベクレル以下が検出されたのは16地区で、作付け制限されれば約800戸の農家が影響を受ける。国の現行の暫定基準値の500ベクレルを上回り、既に作付け制限の対象になっている2地区の約500戸を含めると計約1300戸に上り、市内の全農家の4分の1を超す。 市は「1年でも耕作をやめれば田んぼは荒れ、高齢の農家は生産意欲を失う」(農政課)と判断。農林水産省に「国の方向性を改め、全域で作付けさせてほしい」と要請した。除染と放射性物質検査を徹底させ、新基準値(100ベクレル以下)を満たしたコメに限って出荷するとしている。 国見町も全5地区で100ベクレルを上回った。「作付け制限は農家にとって死活問題。全域で作付けしたい」(町産業振興課)と話す。除染と検査を念入りに行う条件で作付けを認める考えだ。 農水省は作付け制限をめぐる結論を今月中に出す。地元市町村の間で国の方向性を受け入れない動きが出ていることについては、「セシウムの検出地域が局所的にとどまっているか、面的に広がっているかどうかでも制限の中身が変わる」(穀物課)と、検討段階にあることを強調している。 [福島県産米の作付け動向] 農林水産省は食品の放射性物質の基準値が100ベクレルに厳格化されるのを受け、昨年12月、「2012年産稲の作付けの考え方」を示した。11年産米から100ベクレル超500ベクレル以下の放射性物質が検出された地区を作付け制限の検討対象地区にしている。 500ベクレル超だった県内9地区は作付け制限する。避難区域に指定され、昨年作付けが制限された双葉郡などの12市町村(一部を含む)は避難区域見直しを受けて制限を続けるかどうかを決める。南相馬市と広野町は前年に続き今年も全域で作付けしない方針を明らかにしている。 |
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除染がうまく行くとは思えない」飯舘村の酪農家が怒りの訴え
一部引用・・ 安全と安心は違う 「政府は住環境を2年、農地を5年、山林を20年で除染をすると言っています。山林は里山しかやらない。住居の近くだけなんです。そうした場合にどうでしょう。放射性物質は浮遊しているんです。飯舘村の75%は山なんです。いくら住環境や農地を除染してもまた流れてくるんじゃないかという気がするんです。 でも、今、村ではまっしぐらに除染という方向に進んでいます。私はそれに対して、『それじゃダメだ!村民の声を聞こうじゃないか』と訴えています。飯舘村だけが村民アンケートを取っていないんです。除染するなら村民の声を受け止めた上で、やらなきゃダメだと言ってるんですが、聞き入れられないんです。 もちろん除染するというのは本来は当たり前のことなんです。私だって、もといた土地に戻りたい。だけども、最悪のシナリオだって想定しなきゃいけない。そうしたら村を離れるというシミュレーションを今からしとかなきゃダメなんだろうと思います。 もし、4~5年かけて除染した後に『これではダメだった』となったときに、その4年なり5年の月日はどうなるのか。 国でも村でも除染、除染の一辺倒で進んでいます。私は除染なんてうまく行くとは思ってはいません!飯舘村の放射線量が10マイクロシーベルトより下がったら、国が『帰っていいよ』って言うかもしれない。でも、私より上の年代は戻るかもしれないけど、私より下の年代を戻そうとは思わない。若い人達が子作りや子育てできるような環境じゃない。 全文はこちら |
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浪江・川俣・飯舘 外部被ばく最大23ミリシーベルト 作業員除く推計値 2012年2月20日 東京新聞夕刊 福島の全県民約二百万人を対象に健康管理調査を進めている福島県は二十日、原発事故の発生から四カ月間に浪江、川俣、飯舘三町村の約一万人が受けた外部被ばく線量の推計値について、原発作業に携わった人を除き、最大で二三ミリシーベルトだったと公表した。 一般人が年間に受ける被ばく線量は通常一ミリシーベルトが上限だが、国際放射線防護委員会(ICRP)は、緊急時は二〇~一〇〇ミリシーベルト以下にするよう勧告している。山下俊一県立医大副学長が会見し「年間一〇〇ミリシーベルト以下の被ばくでは明確な発がんリスクはなく、この結果から健康影響は考えにくい。被ばく量をできるだけ減らすことが大切だ」と説明した。 県によると、原発作業に携わった人を除く計九千七百四十七人のうち、一ミリシーベルト未満が五千六百三十六人(57・8%)、一ミリシーベルト以上一〇ミリシーベルト未満が四千四十人(41・4%)。一〇ミリシーベルト以上は七十一人で、このうち計画的避難区域設定の基準となった二〇ミリシーベルトを超えていたのは二人。最大は二三ミリシーベルトの女性だった。二十歳未満では十代の男性一人が一〇ミリシーベルトを超え、一八・一ミリシーベルト。計画的避難区域からの避難住民で、区域設定後も長く滞在していたことが要因とみられる。 原発作業などに携わった人を含めた場合、一〇ミリシーベルト以上が九十五人で、最大は四七・二ミリシーベルトだった。 推計値は、放射線医学総合研究所(千葉市)が協力し、健康管理調査で住民が自ら記入した行動記録を基に、文部科学省の測定や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による各地の空間線量を参照し算出された。 県は、全県民の99%以上に問診票を既に送り終えているが、一月末時点での回収率は三町村で52・1%、県全体では21%にとどまっている。 |
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辺野古保全は「不可能」 アセス、知事意見提出
2012年2月21日 琉球新報 仲井真弘多知事は20日午後、防衛省・沖縄防衛局が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け県に提出した環境影響評価(アセスメント)の評価書に対する意見書を、県環境影響評価条例に基づき沖縄防衛局に提出した。 意見書は、辺野古に新たな基地を造る現在の計画に対し「環境の保全上、重大な問題がある」と厳しく指摘。同省が示す保全措置では「事業実施区域周辺域の生活環境および自然環境の保全を図ることは不可能」と結論付けた。前文の冒頭、普天間飛行場の県外移設と早期返還を政府に再三求めている県の立場も明記した。 辺野古移設について「地元の理解が得られない移設案を実現することは事実上、不可能であり、日本国内の他の地域への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる」との県の立場を強調した。 意見書は、米軍が沖縄に夏以降に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや絶滅危惧種ジュゴンなど、25分野で175件の問題点を挙げた。 評価書で、代替基地での運用機種にオスプレイを追記。別の機種も含め飛行経路の変更があり、周辺住宅地への騒音影響も軒並み変わった。意見書は「手続きの最終段階に至って重要な環境情報が提示・変更されたことが、環境影響評価制度における前例となることに大きな懸念を抱いている」と強い不満を示した。 県の下地寛環境生活部長は記者会見で「科学的根拠に基づくデータで予測しないと、(政府から)環境保全上、問題がないと言われても理解し難い」と述べ、環境保全は不可能とした理由を説明した。 県は環境影響評価法に係る埋め立て事業対象の知事意見は3月27日までに防衛局に提出する。 政府は知事意見を踏まえて評価書を補正できるが、大幅な補正に応じれば移設計画に大きな影響が出る。補正の後、公告・縦覧にかければアセス手続きは完了する。 辺野古沿岸部の埋め立てに向け、政府による公有水面埋め立て承認申請が6月にも県に提出される可能性が指摘されていた。 だが、玄葉光一郎外相は今年秋以降に先送りされるとの認識を示している。 |
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住民、あいまい基準に不安 県民健康調査結果 (2012年2月21日 福島民友ニュース) 県が20日に公表した健康管理調査の結果を受け、川俣町山木屋と飯舘村の住民からは、低線量被ばくの基準がない中で、結果を不安視する声や、内部被ばくも含めた早急な調査実施を求める声が上がった。 飯舘村によると、県の説明では村民1944人のうち約8割が5ミリシーベルト以下で、15ミリシーベルト以上は3人だったという。村は今後も、外部被ばくを避けるため、必要以上に高線量地域に入らないよう呼び掛ける。 伊達市に避難し、いいたて全村見守り隊員として2日に1度村内でパトロール活動をしている菅野茂さん(65)は「平時の基準とされる年間1ミリシーベルトの値を既に超えている。マスクをするなど気をつけているが、どの数値が安全なのか、はっきりしない中での活動は不安」と心境を話した。 川俣町山木屋地区の住民が入居する同町の仮設住宅で生活する農業大内一さん(64)は「問診票での調査は記憶もあいまいな点があり、納得いかない」とし、一刻も早い内部被ばくも含めた検査を求めた。 |
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“戦災の記憶”解体 郡山の保土谷化学・事務棟 (2012年2月21日 福島民友ニュース) 郡山市にある保土谷化学工業郡山工場の事務棟は、多くの犠牲者を出した1945(昭和20)年4月12日の郡山空襲を耐えた建物だったが、東日本大震災で大きな被害を受けたため20日から、解体が始まった。 郡山空襲は軍需工場だった同郡山工場が主な目標となりB29の大群が爆撃。市内で460人が亡くなる県内最大規模の被害を出し、同郡山工場でも学徒動員生らを含む204人が犠牲となった。 施設のほとんどが破壊された同郡山工場で奇跡的に残ったのが、42年に建てられた木造モルタル2階建ての事務棟。その後も使用されてきたが、震災で天井や壁が崩れて内部に入れなくなり、取り壊しが決まっていた。 事務棟跡は駐車場になり、新事務棟は場所を移し構内に建てられる予定。 |
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