今夜これからきくのは、セルゲイ・マーロフによるの無伴奏チェロ組曲第6番(BWV1012)です。ヴィオロンチェッロ・ダ・スパッラ(ディミトリー・バディアロフ製作)による6曲の無伴奏チェロ組曲の中では、やはりこの第6番の録音(2018年)がしっくりきます。亡くなったチェロ奏者のアンナー・ビルスマは、第6番を無伴奏ヴァイオリン曲と同じ音域なので、「なにかしら手で持つ『ヴィオラ』のような楽器をもとに作曲された音楽だと思う」(『バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマは語る』)と語っています。もし、ビルスマがこのマーロフの録音をきいたなら、この肩のチェロを小型のチェロのほかに候補に入れたかもしれません。とにかくマーロフの演奏には敏捷性や軽快感があり、その熟達した演奏は、チェロと遜色のない味わいがあります。こうなってくると、いずれはチェロ奏者がスパッラをもちいて無伴奏チェロ組曲(とくに第6番)を録音してくることがあるかもしれません。じっさい、オランダのチェロ奏者であるルシア・スワルツは、すでにスパッラに挑戦しています。
CD : SM 343(Solo Musica)