毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




今週、月曜日から土曜日までは、ケネス・ギルバートによる、クラヴィーアのためのトッカータなどがおさめられたCDを、収録順にきいていこうと思ういます。使用楽器は1671年にヤン・クーシェが製作したチェンバロで、これを1759年にブランシェ、1778年にパスカル・タスカンが改修しています。さらに1979/80年には、ユベール・ベダールの工房で修復されました。このチェンバロはギルバートが所蔵する楽器で、ギルバートの「インヴェンションとシンフォニア」もこの楽器でした。今日これからきくのは「半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903」。このBWV903は、ほぼ1カ月まえにもアンドレアス・シュタイアーの演奏できいていますが、シュタイアーとは個性のちがうギルバートの演奏はどういうものだったか楽しみです(ギルバートの演奏について記憶がありません)。

CD : 431659-2(ARCHIV PRODUKTION)

431659-2

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ふだんの日曜日なら教会暦にあわせたカンタータをきくのですが、四旬節(それから待降節も)の期間中はそれができないので、なにをきこうかと悩んでしまいます。で、いろいろ考えをめぐらせて選んだのは、カンタータ「神の時こそいと良き時」。このBWV106は、葬儀のためとみられるカンタータで、若きバッハ(ミュールハウゼン時代)の傑作とされます。評価が高いだけに録音も多いのですが、これからきくのはジョシュア・リフキンたちによるもの。録音は1985年で、例のごとくOVPPによる演奏です。

CD : 458 087-2(DECCA)

458 087-2

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今週のバッハは、シギスヴァルト・クイケンたちによる新録の「ブランデンブルク協奏曲」を収録順にきいてきました。最後にきくのは第2番で、このBWV1047の編成は、独奏がトランペット(ジャン・フランソワ・マデゥフ)、リコーダー(バルト・コーエン)、オーボエ(パトリック・ボージロー)、ヴァイオリン(ルイス・オターヴィオ・サントス)、リピエーノが第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、スパッラ、バス・ヴァイオリン、チェンバロで、これまでの協奏曲とおなじくパート1人です。

この演奏で特筆すべきは、マデゥフ(第1番では第1ホルン)のトランペットでしょう。スライドも、指孔も、もちろんバルブもないトランペットで、演奏困難なパートに挑んでいます。クイケンの旧録では、より妥協のない奏者がいなかったため、トランペットのパートをホルンで代替していたのですが、マデゥフによって、この録音では、めでたくクイケンの理想的とする響が再現できたわけです。なお、マデゥフのナチュラル・トランペットは、YouTubeでもいくつか視聴できます。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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シギスヴァルト・クイケンとラ・プティット・バンドによる新録の「ブランデンブルク協奏曲」、これからきのは第6番です。このBWV1051の編成も各パート1人で、第1ヴィオラ(ダ・ブラッチョ)、第2ヴィオラ(ダ・ブラッチョ)、第1ヴィオラ・ダ・ガンバ、第2ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダ・スパッラ、バス・ヴァイオリン、チェンバロという編成。クイケンはかわらずスパッラをひき、赤津眞言(ヴィオラ)と戸倉政信(ガンバ)の日本人二人が名をつらねています。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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さきほどちょっと外にでてみると、小雨が降っていました。昨夕の天気予報では、雨マークはなかったような気がするのですが、Yahoo! JAPANの天気予報みにいくと「雨後晴」で、「あれっ」という感じです。まあ、たいした降りかたではないので、でかけるにも問題はないのですが。さて、シギスヴァルト・クイケンとラ・プティット・バンドによる新録の「ブランデンブルク協奏曲」、今朝きくのは第4番です。このBWV1049の編成は、第1リコーダー、第2リコーダー、独奏ヴァイオリン、第1ヴァイオリン(リピエーノ)、第2ヴァイオリン(リピエーノ)、ヴィオラ(リピエーノ)、スパッラ、バス・ヴァイオリン、チェンバロで、やはりすべて1名での編成です。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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さきほどの記事、「コルノ・ダ・ティラルシ」で紹介したシギスヴァルト・クイケンのカンタータ。これはOVPPによる上演ですが、ソプラノを歌っているのはゲルリンデ・ゼーマン Gerlinde Sämann (1969年ドイツ生まれ)という歌手。ゼーマンは、アルト歌手のペトラ・ノスカイノヴァに手をひかれて入退場していることからも想像できるように、盲目の歌手です。手にしている(おそらく)点字楽譜を右手でなぞりながら歌っていますね。

クイケンとのカンタータ、新録のBWV232、BWV244で起用されており、とくに古楽専門というわけではないようですが、そのまっすぐで、清潔な声に魅了されます。オフィシャルサイトでは、モーツァルトの「エクスルターテ・ユビラーテ」や、ヘンデルのオラトリオ「アレクサンダーの饗宴」のアリアなどもきくことができます。上演でもほとんど障害を感じさせず、よくないことかもしれませんが、ついつい「すごいな」と思ってしまいます。



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バッハの所持していた楽器、また楽譜に指定した楽器のなかには、実態がよくわからないものがあります。コルノ・ダ・ティラルシ(スライド・ホルン)もそのひとつで、なんらかの奏法の指示なのか、じっさいそういう楽器があったのか、いろいろと議論があります。シギスヴァルト・クイケンは、そうしたよくわかっていない楽器の再現、演奏に熱心で、このところ、ヴィオロンチェッロ・ダ・スパッラを、録音や演奏会で盛んにひいています。そのクイケンが、カンタータの上演で、コルノ・ダ・ティラルシとおぼしき楽器を吹かせている映像があります。

その映像はMEZZOが放映したもので、2009年のアンブロニー音楽祭(フランス)での、「たれぞ知らん、わが終わりの近づけるを」と「主キリスト、神の独り子」。たとえばBWV27だと、ホルンが指定されているのは第1曲と第6曲のコラールですが、ソプラノを補強するようになぞられます。映像はYoutubeのチャンネル「aminharpsichord」などで視聴でき、ときおり、オリヴィエ・ピコンの吹くホルンがアップになります。ソプラノ・トロンボーンにうず巻きの管、という形状で、いろいろ想像し、試行錯誤で製作したものなのでしょう。



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シギスヴァルト・クイケンとラ・プティット・バンドによる新録の「ブランデンブルク協奏曲」、これからきのはホルン(コルノ)が活躍する第1番です。記事「ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV1048 [8]」でもふれましたが、この2009年録音の「ブランデンブルク」の新機軸のひとつは、指孔なしのホルン(奏者はジャン・フランソワ・マデゥフとピエール・イヴ・マデゥフ)。

金管を巻いただけのホルン(ナチュラル・ホルン)をふつうに吹くと、自然音列以外の音はでず、自然音列のなかでもいくつかの音は音程がずれてしまいます。昨日きいた「ジャン・クロード・マルゴワールたちの『水上の音楽』」では、音程はずれたままで補正されていませんでした。しかし、現代人の耳にはなじまないようで、やはり、音程を補正して吹くのが一般的です。

音程を補正したり、自然音列以外の音をだすためには、スライト管にする、手をベルに入れて補正するなど、いろいろ考えられるわけですが、バッハをピリオド楽器のホルンで演奏するさいは、ふつう指孔で解決しています(ただし指孔がふえるほど音色が犠牲に)。しかし、マデゥフたちは、唇によって自然音列以外の音をつくるベンディングという技術を使っています。

ピリオド楽器も吹くホルン奏者ティモシー・ブラウンが、1991年来日時のインタビューで、バッハの時代に指孔を開けた楽器がのこされていないにしろ、音色面で「今のところ指穴を使うのが最善だと思います」(「古楽情報誌 アントレ」1991年12月号)と語っていたように、これまで(そしていまでも)指孔による補正が、ピリオド楽器奏者にとって一般的でした。

期待をもたせてくれたのは、同じインタビューで、バッハ当時の「ホルン奏者たちは唇だけで音を補正できたということは考えられませんか」という石川陽一の問いに、ブラウンが「できたかもしれません」と答えたこと。それを実現したのがマデゥフたちで、このBWV1046第4楽章におけるホルン2本(とオーボエのユニゾン)のトリオでも、野趣にとんだ勇壮な響きをきかせてくれます。

なお、ラ・プティット・バンドの編成は、第1ホルン(ジャン・フランソワ・マデゥフ)、第2ホルン(ピエール・イヴ・マデゥフ)、第1オーボエ、第2オーボエ、第3オーボエ、ファゴット、ヴィオリーノ・ピッコロ、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、スパッラ、バス・ヴァイオリン、チェンバロで、すべて1名というもの。クイケンはこの第1番でも、やはりスパッラをひいています。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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これからちょっとだけきくのは、ジャン・クロード・マルゴワールとラ・グランド・エキュリ・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワによる、ヘンデルの「水上の音楽」(SONY CLASSICAL SRCR 1510)です。マルゴワールたちの「水上の音楽」には、1971年録音と、1983年録音のものがありますが、ここできくのは1971年録音のもの(初出のアナログ・ディスクは、奇抜なイラストのジャケットが印象的でした)。

この演奏のおもしろさは、ホルンの音程のずれを補正せずに演奏しているところ。ほかはふつうの現代楽器なので音程が正確ですが、ホルンだけ豪快に音がはずれていて、その野趣にとんだ音色は爽快といえます。ヘ長調組曲のメヌエットなど、はずれぐあいが快感になりますね。いつも、のんびり、のどかな演奏をきかせるマルゴワールですが、こういう音楽にはあっています。

もっとも、そう感じるのは少数派のようで、初出のころからいまにいたるまで、あまり評判はよろしくないようです。CDJournal.comの「試聴コメント」にも、「金管楽器の活躍する部分は結構荒く、雑然として聴こえる感あり」とありますが、そこがこの演奏のおもしろいところなのに。1983年の録音ではすべてがピリオド楽器になりましたが、こちらのホルンはハンド・ストッピングで補正しています。

SRCR 1510

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昨日からききはじめた、シギスヴァルト・クイケンとラ・プティット・バンドによる「ブランデンブルク協奏曲」。この2009年録音の「ブランデンブルク」では、クイケンはどの協奏曲でも、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラをひきつつ、アンサンブルをリードしています。いまからきく、BWV1050もそれは例外ではなく、クイケンはやはりスパッラをひき、ヴァイオリン独奏は娘のサラ、フルートはバルトルド、チェンバロはエーヴァルト・デメイエルです。リピエーノと通奏低音は、ヴァイオリン、ヴィオラ、スパッラ、バス・ヴァイイオリンという編成(すべて1人)です。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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今週きいていくのは、シギスヴァルト・クイケンとラ・プティット・バンドによる「ブランデンブルク協奏曲」です。クイケンの主導した「ブランデンブルク」には、1993/94年に録音されたDHM(deutsche harmonia mundi)の旧録と、2009年録音のACCENTからの新録がありますが、今日からきいていくのは新録のほうで、これを収録順にきいていきます。

この新録での新機軸は、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラと、指孔なしのトランペットとホルン、そして室内楽編成の採用でしょう。これからきくBWV1048では、ヴァイオリン、ヴイオラ、スパッラがそれぞれ3、バス・ヴァイオリン、チェンバロという編成で演奏しており、その写真が解説書にもありますが、チェンバロをのぞく奏者たちが立ち並んだ姿は壮観です。

スパッラを担当しているのは、クイケンのほか、赤津眞言とジューリオ・ダレッシオ。ヴィオラには戸倉政信の名があります。クイケンは、6曲すべてでスパッラ(楽器はディミトリー・バディアロフ製作)をひいており、よほどのお気に入りなのでしょう。また、ヴァイオリンをひきつつリードするよりも、通奏低音をひきながらのほうが新鮮なのかも。

CD : ACC 24224(ACCENT)

ACC 24224

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今夜はこれから、ヨーハン・クリストフ・バッハのラメント(哀歌)に耳をかたむけることにします。バッハ一族には、ヨーハン・クリストフという音楽家が何人かいてややこしいのですが、このラメントの作曲者は、1642年生まれのバッハの父の従兄(亡くなったのは1703年)。「ああ、われ我が頭を水となし」はバッハも楽譜を所蔵していたようで、聖書の「哀歌」などにもとづく、渋くも美しい佳品です。ここできくのは「German Baroque Cantatas」(SONY CLASSICAL 88697225032)でパスカル・ベルタン(カウンターテナー)が歌ったもの。リ・アンジェリ・ジュネーヴの編成は、ヴァイオリン独奏、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ(2)、ヴィオローネ、オルガンで、奏者には上村かおりの名もみえます。

88697225032

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ライプツィヒでの在任中、教会暦にしたがって、バッハはカンタータを上演し続けましたが、四旬節(と待降節の)期間中は、原則としてカンタータが演奏されませんでした。そのため、四旬節では例外の、受胎告知の祝日(3月25日)のためのカンタータをのぞき、四旬節のカンタータはのこされていません。ただし、ヴァイマールで四旬節期間中に初演された、「罪に手むかうべし」はのこされていますので、今日はこれをきくことにします。

このBWV54は、1714年3月4日に初演されたとみられるのですが、ダルムシュタットの宮廷詩人ゲオルク・クリスティアン・レームスによる歌詞は特定の祝日にかぎるものではなく、一年中上演可能なものです。カンタータの構成は、アリア、レチタティーヴォ、アリア(すべてアルト独唱)というめずらしいもので、ヴァイマール宮廷のファルセット歌手(小姓長)、アーダム・イマーヌエル・ヴェルディヒによって歌われた可能性があります。

これからきくのは、やはりファルセット歌手のダニエル・テイラー、ジャンヌ・ラモンとターフェルムジーク・バロック・オーケストラによる演奏(2011年録音)です。記事「『罪に手むかうべし』 BWV54」で、第1曲のテンポについて言及しましたが、ラモンたちのは8分49秒。ロバート・キングたちの旧録ほどではないですが、かなりゆっくりしたテンポです。歌詞や不協和音からすると、ゆっくりすぎるテンポはあわないような気がするのですが。

CD : AN 2 9878(ANALEKTA)

AN 2 9878

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これからきくのは、ダニエル・コルゼンパによる「プレリュードとフーガ イ短調 BWV543」です。このブログでもきいたコルゼンパの「パッサカリアとフーガ」(記事は「パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582 [4]」)と同じ、PENTATONEのCD(SACD)に収録されたもの。オルガンはブレダ(オランダ)のグローテ・ケルクで、録音は1970年です。

CD : PTC 5186 127(PENTATONE CLASSICS)

PTC 5186 127

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収録順にきいているエリザベス・ファーの「Music for Lute Harpsichord」、これからきくのは、2枚目の最後に収められた「サラバンドと変奏」です。このBWV990のサラバンドの主題は、ジャン・バティスト・リュリの「ベレロフォン」序曲にもとづくもので、これに15の変奏が続きます。ただし、「おそらく他者の作」(『バッハ事典』)とのこと。

ところで、リュート・チェンバロを演奏しているファーですが、アルペッジョをゆっくりめに、高音をずらしてひいています。リュート風を試みているのか、それとも好みなのか、確認しようにも手持ちはこれだけ。しかたがないので、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで、ほかのバッハの録音(8.572006-07)をきいてみました。

何曲かきいてみましたが、ふつうのチェンバロでの演奏ながら、こちらも同じようなアルペッジョです。つまり、高音をずらすアルペッジョやアゴーギグはファーの趣味ということなのでしょう。それなら、フランスの音楽家エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲールの録音(8.557654-55)で、ドイツ・レコード批評家をうけているのもなっとくです。

CD : 8.570470-71(NAXOS)

8.570470-71

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