2012年10月6日の記事「ロ短調ミサ曲における注目すべき演奏実践」で紹介した、ダニエル・ロイス(ダニエル・レウス)指揮のイル・ガルデリーノとカペラ・アムステルダムによるBWV232(ミサ曲ロ短調)。ホルン奏者と第1トランペット奏者をかねさせた、画期的というか、試験的というか、あるいは経済的というか、どうしてそのようにしたかは不明ですが、注目すべき演奏実践でした。じつは、これと同じような試みが、YouTubeに投稿されており、前々から紹介しようと思いつつ、まだ未紹介でしたので、空き時間を利用して紹介しておくことにします。
投稿されている動画は、モスクワ・カトリック大聖堂における、ナザール・コジュハーリ(Nazar Kozhukhar)指揮のポケット・シンフォニーとヴォーカル・コンソート(The Pocket Symphony & vocal consort)による演奏会。この演奏で、第1トランペット(トロンバ)のパートと、ホルン(コルノ・ダ・カッチャ)のパートを吹いているのは、イギリスの奏者マーク・ベネットです。まわりくどいいまわしなのは、ホルンのパートは、ざんねんながら渦巻き型のトランペットで吹いているためで、じっさいの音はトランペットと同じといってよいと思います。
指揮者のコジュハーリは、ヴァイオリン奏者でもあり、「ラウダームス」では独奏もしていますが、そのほかは指揮に専念。編成は、20人のオーケストラに、独唱者もかねた13人の合唱団で、室内楽を拡大した、ごく小編成の演奏といえます。ベネットの兼務が、研究の成果なのか(たとえばコルノ・ダ・カッチャ=渦巻き型トランペットだとか)、たんに編成上のつごうなのかはわかりません。この投稿時点でYouTubeのチャンネル「pocketsymph」にて視聴できます。投稿されたのはBWV232全曲ではありませんが、興味のあるかたはどうぞ。