ちょっと時間があいたので、いまきいている「平均律クラヴィーア曲集」つながりで、ヨーハン・カスパル・フェルディナント・フィッシャーの「アリアドネー・ムジカ」をきいてみたいと思います。フィッシャーは、1656年生まれのドイツの音楽家。バーデン・バーデン辺境伯の宮廷楽長をほぼ半世紀にわたって務め、1746年に亡くなっています。「アリアドネー・ムジカ」は、1702年に出版された、20曲のプレリュードとフーガ、5曲のリチェルカーレからなる曲集。20の調によるプレリュードとフーガは、24の調による「平均律」の先例としてよく紹介されています。
ここできくのは、1948年生まれのドイツのオルガン奏者、ヴォルフガング・バウムグラツの録音(CHRISTOPHORUS CHE 0002-2)。フィッシャーのプレリュードとフーガは、バウムグラツの演奏だと長くても2分6秒(プレリュードとフーガをあわせた時間)。バッハの「平均律」にくらべるとずっと簡素です。なお、オルガンはグラスベルクのルター派教会のそれですが、もともとは、アルプ・シュニットガーがハンブルクの孤児院に建造(1694年)したオルガンで、1788年にグラスベルクに移設されました。録音は1985年です。