今夜はひさびさに深夜の投稿です。これからしばしの時間、先日亡くなったクリストファー・ホグウッド(記事は「追悼クリストファー・ホグウッド」)を偲び、ホグウッドの他面をふりかえってみようか、と。ホグウッドというと、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンを、新しい解釈できかせた指揮者というイメージが強いと思います。しかし、上記の追悼記事でもふれたように、活動初期には、デイヴィッド・マンロウのロンドン古楽コンソートのメンバーでもあり、そこで中世・ルネサンス音楽を演奏し、鍵盤楽器だけでなく打楽器やハープなども担当していました。
これからきくのは、そのマンロウたちによる、半世紀近く前の「Music of the Crusades」(DECCA 430 264-2)から、ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(ミンネゼンガー)の「パレスチナの歌」です。これは第6回十字軍に従軍し、1229年3月、平和的に聖地エルサレム入場したフォーゲルヴァイデがその感動を歌ったものとされ、中世の歌曲の中でも美しいもののひとつです(じっさいにはフォーゲルヴァイデは途中離脱したようですが)。ここでのホグウッドは、ジェイムズ・ボウマン(カウンターテナー)の歌を、ハープで訥々と伴奏しています。