今宵、バッハをちょっとだけ離れてきくのは、「Danielle de Niese / Beauty of the Baroque」(DECCA 478 2260)。このアルバムは表題どおり、ソプラノ歌手のダニエル・ドゥ・ニースがバロック時代のさまざまなアリアを歌ったもので、ヘンデル、パーセル、モンテヴェルディ、ペルゴレージ、ダウランド、バッハの曲が収録されています。ダウランドはバロックというにはどうかと思いますが、彩り豊かで楽しめる構成です。
ここできくのはヘンデルの「あなたを抱きしめ」。このドゥエットはオペラ「ロデリンダ」(HWV19)中の屈指の名曲で、ロンバルド王国の王ベルタリードと王妃ロデリンダが再会からの別離を切々と歌いかわします。ニースの歌唱は、ベルタリード役のアンドレアス・ショルともども情感豊か。いまレギュラーできいていいるヘルムート・ヴァルヒャの演奏が渋くてモノクロ的であるのとじつに対照的です。録音は2010年。指揮とオーケストラは、ハリー・ビケットとイングリッシュ・コンサートです。