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『一ノ矢 土俵に賭けた人生』

2009年04月22日 | 本と雑誌

090422books

出版は去年、7月ニュースで知ったのですが、入手が遅れ、きょうになりました。

Amazon.co.jp: 一ノ矢 土俵に賭けた人生: ヒヤ小林: 本

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日本伝統のコアトレがすごい! シコふんじゃおう (単行本)
元・一ノ矢 (著
)

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そんなにまで相撲が好きだったのか。一ノ矢

初の国立大卒力士、歴代現役最高齢力士。一ノ矢

ふりむん!!(お前はバカか)
卒業時、入門の決意を聞いた周りの者は
誰でもがそう言った。あまりに体が小さかったからだ。

高砂部屋には入門を断られながらも
まわし一つ持って徳之島を出た松田君(一ノ矢の本名)。
琉球大学の僚友でフリーのアナウンサーである著者が語る
松田君の相撲への情熱はあつい。
彼が偶然道をたづねた青果店のおじさんまでもがその熱意におされる。

一ノ矢の半生は相撲を愛し、人に愛された半生でもあるのではないか。

頭頂部へシリコンを注入し、計測台の上そっと背伸びして乗る松田君の顔は頭におわんをのせたようで、まるで七福神の福緑寿のようだった。
計測係りはその異様な頭を見てすべてを察し、「よしっ」と言った。
検査合格のあと、シリコンを掻き出す激痛に耐える松田君。「生涯最大の痛み」
こんどはシリコンを抜いたあとの頭皮のたるみが垂れ下がってくる。
物理学科を卒業したばかりの松田君は引力のすごさを身をもって体験する。だが、もうふりむんではない、ついに松田君が力士になったのだ。わらいながらも涙がでてくる場面だ。

なんという執念であろうか。

一ノ矢の半生に悲壮感や暗さは感じられない。が、しかし、そこがすごい。

これが「島力」というものだろうか。

僚友の筆致は絶賛ばかりではない、砂かぶり席で見ているような
等身大の一ノ矢の相撲人生。読者をぐいぐいひきつける。ここでも一ノ矢は人に恵まれていると思う。

人生とはなにか。相撲に興味のない人も
同時代の人は、こんな時代だからこそ、一ノ矢の相撲人生を通して
人生とは何か?あらためて自分の人生について考えさせられるだろう。

幕下に上がったこともない一ノ矢の地位では結婚もできない。いい人のめぐり合え、堂々と結婚するため、46歳一ノ矢は、24年間の力士生活にけじめをつけ、現役を引退した。(2007年11月 九州場所後)