『沖縄の不都合な真実』 (新潮新書) 単行本 – 2015/1/16
大久保 潤 (著), 篠原 章 (著)
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ベストセラー1位- カテゴリ 米軍基地
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嫌韓や嫌中論など民族主義的な言動がめだっている。
名瀬の書店でも『韓国人による恥韓論』2014 5月)などの本はまだ目にすることができる。
悪韓や沈韓、呆韓論などというのもあるらしい。そういうのが売れるのだろう。雑誌の目次にも多い。
作家の百田尚樹氏が7/26、自民党勉強会(文化芸術懇話会)で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などと発言して話題になっている。
この本を読み始める前、先週日曜のTVでチラ見した『そこまで言って委員会』よみうりテレビ、「沖縄は悲劇の島なのか? 徹底検証スペシャル」を見た。
沖縄統治や基地問題などを巡って話題は「人類館事件」(1903年)にもおよび、「沖縄差別」だ。いやそうではない、など白熱する場面だった。 ニュース記事へのリンク
そんなおりから、本書のタイトルを見て、また沖縄ヘイト本か?と思ったが、少し違った。
沖縄は公務員が君臨する日本一の階級社会、
貧困と深刻な格差、全国ワーストの暮らしに喘ぐ人々、異論を封じ込める言論空間p174、金門クラブ等々
そのほか、初めての人には目からうろこの話がもりだくさん。辺野古もエリート同士の戦い、左翼のいない不幸など、
ああ、奄美とにているなあ(決定的に違う面もあるけど)
つきつめて言えば、沖縄という「人」はいないという単純な基本なのかも知れない。「オール沖縄」って?名護市でも街の人と東海岸のいまでも漁業権が制約されている漁師とは、基地建設に対しては意見がことなる。もしあなたが辺野古に生まれ基地関係の土木会社につとめているとしたらor漁師だとしたら、都会から休日にやってくる「意識の高い人}に「子や孫のためにジュゴンの棲む美しい海を残したくなはいのですか?」などと説教されたとしたら「殺意」すら・・・。
デモ参加者の多くはめぐまれた公務員、(高良倉吉氏がいうp142「大江健三郎と筑紫哲也が言う被害者沖縄のイメージ通りに振る舞うクセが付いてしまった」人々も多く低所得者の多くの考えや気持ち、本音が外に伝わることは、ごくまれだ。「お金がなくても心豊かな南の人々」などとばかりも言っていられなくなった。
基地問題で右を向いても左をみても、ロンソーの中からは、沖縄の真相は見えてこない
ましてや、解決策などどこに見出せばよいのだろう。
補助金漬けで自立の芽がそだたたない問題は、地域経済が弱く迷惑施設受け入れの対価としての振興策にたよらざるを得ない地方は日本中にあることを思えば、沖縄の問題は日本の問題である。・・・という話も他の本でよく読んだなあ。税金の使い方の問題なので皆が当事者なのである。巨額のお金を何十年もつぎこみつづけても、自立の光は見えてこない奄美も同様。
アメリカが上陸前から考えていた「琉球人は粗野な振る舞いから、日本人に「田舎から出てきた貧乏な親戚」と差別されている。潜在的な不和の種は政治的に利用できる」(「琉球列島に関する民事ハンドブック」)という作戦は、現在も自動的につづいているように思われる。どこの田舎にも田舎者はいるはずなのだが。
「方言札」p202というのも東北、九州にもにあったねですね。近代化ということを考えると同然ありうる事だと思った。
本書には「奄美」の文字が一箇所。p205
「差別」を歴史的産物だとすれば、沖縄(本島)による、奄美・宮古・八重山地方に対する収奪という差別の重層性を覆い隠そうとする沖縄知識人という文脈の中で登場する。
薩摩による琉球の”搾取”をいうならば、琉球内部のサムレー(武士)にハルサー(百姓)(本土と比べるとその比率は極めて高い)による構造的搾取、支配(公務員の優位)にも目をむけなければなるまい。P130百姓二人が士族一人を養った琉球時代P130
奄美ではどうだったのだろうか。