『義民が駆ける 』 レジェンド歴史時代小説 (講談社文庫) 文庫 – 2015/10/15
藤沢 周平 (著)
天保一揆、天保義民とか呼ばれる羽州(出羽国)庄内藩領民の藩主国替え阻止騒ぎ。
wikipediaでは 天保義民事件 で検索できる。
天保11年(1840年)といえば、薩摩藩では 調所広郷による行政・農政改革や琉球を通しての清との密貿易などで、藩財政がもちなおし、十年前には500万両にも及んだ膨大な借金が250万両の蓄えが出来る程にまでに回復したといわれる年だ。
調所は、大島・徳之島・喜界島などの砂糖専売制の強化をその「第一之根本」とした。
余談だが、九州、なかでも薩摩(鹿児島)藩は農民一揆の少なかったといわれるが、
「犬田布騒動」(犬田布農民一揆) 徳之島 参考 『碑のある風景』足でまとめた奄美大島史 ほか
文久2(1862年)砂糖収奪が厳しさを増すなか犬田布村の砂糖見積もり不足疑いを調べる詰役が農民に拷問を加え、これを知った村人たちが砂糖小屋を破壊、役人に棒を持って迫り、砦を築いて結集、一戦を交える構えを見せる。これに対し、逃げ出した詰役は、島役人を集め、武装して村人たちに対峙した。
砂糖惣買い入れ制移行前、文化12(1815)年の母間騒動との違いは、島役人が代官所に全面協力していること。
1816年文化13年母間騒動(徳之島)
課税が高すぎ払えないと訴える母間住民代表の一人を牢に入れた代官所に武装した住民数百人が乱入、牢を打ち破り救出する。
加世田一揆
1858(安政5)年 鹿児島本土 調査中
などがある。
それらなどを思い出しながら読んだわけだが
藤沢はあとがきで、「百姓たりといえども二君に仕えず」は、やり過ぎだと私には思えた。
と書いている。それには媚があり、不愉快に思っていたと。
この小説を書き終えて、別の思いが加わる。
農民や義民と一口に言っても「中身は複雑で奇怪でさえある」と。
島の農民の場合は、さらに複雑な要素が加わる。
この記事は書きかけです。
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藤沢周平 書籍作品あれこれ 《義民が駆ける》|荘内日報社
【義民が駆ける】 史実検証し疑問解く|山形新聞
amazon 新装版 内容(「BOOK」データベースより)
江戸後期の天保年間、老中水野忠邦から突然命じられた理不尽な三方国替え。越後長岡への転封を強いられた藩主を守ろうと、荘内藩の百姓たちは越訴のため黙々と江戸を目指す。深山にわけ入り間道を伝って歩き続ける領民の相貌と彼らを衝き動かした情動を精緻に描く、新装版の傑作歴史長編。
旧版
歴史小説の真髄がここにある。
江戸幕府から突然命じられた三方国替え。越後長岡への転封を強いられた藩主を守ろうと、荘内藩の百姓たちは越訴のため黙々と江戸をめざす。「雖為百姓不仕二君」を旗印に深山にわけ入り間道を伝って歩き続ける領民たちの相貌と彼らを衝き動かした情動を精緻に描く傑作歴史長編を講談社文庫にも収録。
登録情報
- 文庫: 464ページ
- 出版社: 講談社 (2015/10/15)