『流転の人 佳那』 単行本(ソフトカバー) – 2007/5/1
籾木 としこ (著)
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久しぶりの熟読一気読み。
これだけの辛いことがよく身近で、立て続けに起こるものだ。という驚き。
戦中戦後、実父と養父の不和と摩擦の狭間で苦しむ佳那の少女時代は、波は大きいが、まだ流転はゆるやかだ。島での当時の人びとの暮らしや生活習慣、世界観、子供たちの遊びの様子など民俗学の本を読むように詳しく興味深い。
思春期のころから翻弄の波は、島から本土、本土から島へとめまぐるしく続いて、息つくひまもないほどだ。復帰前後から、高度成長期へ向かう名瀬と思しき街の何気ない様子の描写も貴重で興味深い。ここで書いてもいいのか迷うような人の世の葛藤の描写も鮮烈で、引き込まれてしまう。早く読んでいたらよかった。
本書を読んで、著者の前著?『山桜、散る朝』―ある新聞記者のがん闘病記– 2004
も読むこととなった。書店でなんどか手に取った記憶があるが、買いそびれていたが、これを機に読みたくなった。
そして、意外や意外、西郷どんとの関連でも書きたいことあるのだったが、今日は時間がない。
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二階郷土コーナーで見つけた。
(検索用のコンピュータがいつの間にかキーボードがなくなり、タッチパネルのみの操作になっていた)
関連
『碑のある風景』―足でまとめた奄美大島史 (1980年)
『奄美 島唄ひと紀行』 2001年
『山桜、散る朝』―ある新聞記者のがん闘病記– 2004
『碑のある風景』―足でまとめた奄美大島史 (1980年)2001年再刊
『奄美 島唄ひと紀行』 2001年
↑この2冊は、まだインターネットがそれほど普及していなかった頃、名瀬にも昔からの書店がまだ十数軒あまりあったころに買ってよんで感動した。名著だ。確かそれ相応の賞も受賞しているはずだ。このブログを始めた2004年、この本の記事を参考に、あちらこちらに郷土史の勉強を兼ね、取材に行ったものだ。
『流転の人 佳那』
内容(「BOOK」データベースより)
戦中戦後を通して実父と養父の狭間で苦しむ主人公佳那、そして、日本本土とアメリカ軍政下のウルマ島にも翻弄されるのだった…。その佳那の周りの人々との軋轢と友情、そして慟哭を描く。
登録情報
単行本(ソフトカバー): 261ページ
出版社: 文芸社 (2007/5/1)