『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック監督 1968年公開のSF映画。
人類の進化、人工知能、未知の宇宙生命体との遭遇をテーマに、壮大なスケールで描がく。
壮大過ぎて論理的理解は困難だ。
冒頭では、太古の地球で類人猿、ヒトザルが謎の黒いモノリス(石柱状の謎の物体)に触れることで進化を遂げる
(触れるだけとはすごい)。なんとこのシークエンスだけで30分はある。
次に、人類はその謎を解明するため宇宙船ディスカバリー号を木星へ送り出す。
船内では人工知能HAL 9000が暴走し、乗組員との対立が展開される。最後に主人公ボーマン船長がモノリス
を通じて新たな次元に導かれ、人類のさらなる進化を暗示する結末を迎える(ラストの白い部屋)。
見どころ
起承転結は無いに等しく(実はある)難解(意味写らん)だが、
「猿の惑星」(1968年の映画)よりも、音楽と映像が鮮烈に記憶に残ってい名作感ではこちらが上回る。
ビジュアルと音楽の融合
宇宙空間の映像美とクラシック音楽(「ツァラトゥストラはかく語りき」や「美しく青きドナウ」)の絶妙な組み合わせが、観る者に感動を与える。
無重力描写や船内のセットデザインも斬新で、色彩的にも鮮やかで強い印象。
今でも驚く当時の技術を超越した映像美だけでも見応えがある。
哲学的テーマ
人類の起源や進化、未知の知的存在との接触といった深遠な問いに対する考察は、観たあとに解説記事で理解した。
観客に明確な答えを与えない構成が、何度も考察したくなる魅力を持って、
それが現在でも高い評価につながっているのだろう。
物語的にわずかに理解可能なのは、冷静で合理的な人工知能HAL 9000の暴走だ。
木星探査の宇宙船ディスカバリー号で唯一生き残ったボーマン船長が、
ハルと対話しながらHALの思考部を停止させるべく、ユニットを取り外していくシーンもみどころの一つで考えさせられる。
現在の生成AIでも議論になる、テクノロジーと人間の関係性を考えさせられる名場面です。
「人間の弱さ」と「機械の完璧さ」の対比が、緊張感を高めます。
革新的な映像表現と深いテーマ性により、『2001年宇宙の旅』は今なおSF映画の金字塔として評価されている。
2022年:「映画監督が選ぶベストテン」第1位
名瀬の映画館でみてから半世紀あまりが過ぎている。
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