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『知ってはいけない明治維新の真実』 (SB新書) (日本語) 新書 – 2020/3/6

2020年04月14日 | 本と雑誌

『知ってはいけない明治維新の真実』 (SB新書)  新書 – 2020/3/6 
原田伊織 (著) 
5つ星のうち4.0
1個の評価 

定期的に図書館に行くことも再開しているのだが、
書店に行って買った積読本も増え、どうしてもそっちが優先される。
やはり身銭を切った本がはやく読みたくなってします。

せっかくつかんだ気になった維新史の概要。
それは薩長史観(官軍教育、鞍馬天狗史観とも)として徹底的に否定され根底から覆される。
(反薩長史観本もいくつか読んだ)

著者は京都生まれ。『明治維新という過ち』の大ヒット、『大西郷という虚像』、『明治維新 司馬史観という過ち』、『三流の維新 一流の江戸』などの著作がある。

本書でも紹介されている著書のタイトルからも本書の内容がある程度推測される。


幕末の15から20年を「徳川近代」と呼ぶ著者。
江戸期は世界史からみても類をみない高度な文明社会として
経済面もふくめ「江戸システム」は私たちが教科書で学ばされたものよりはるかに高度な社会だった、という。
 
ざっくり言ってしまえばそれをいい加減な薩長が無残にこわしてしまった、という話だ。

筆頭は薩摩ではなく、京都御所を砲撃し朝敵となってしまった長州だ。西郷に三井の大番頭といわれた井上馨。
金銭にきたない貪官汚吏の長州に手厳しいが、

薩摩の西郷に対する評価が手厳しい。薩摩批判というより西郷批判で、紙幅も断然多い。

第4章 明治政府の腐敗と「西南の役」が圧巻だ。西南戦争ではなく「役」だ。

中でも、2郷中が生んだ二才頭・西郷 が一番の読みどころがだろう。本書のきもの部分かも
しれない。

【通説】 西郷は無私である点と冷徹な策謀家の二面性がある

策謀家とは(明治維新の動乱のいわば核となった事件 西郷らが送った赤報隊による江戸市中騒乱→庄内藩新徴組らによる薩摩藩江戸藩邸焼き討ち事件)などですね。

に対し
 
【歴史の真相】 西郷を理解するには、薩摩独特の「郷中」(あの会津には「什」と呼ばれる藩士の子弟を教育する薩摩の郷中と似たような組織がある)や「テゲ」と呼ばれる身の処し方を理解することが不可欠である。ととく。

「テゲ」は宮崎や奄美でも今でも使われている(ネットで調べると韓国にも似たようないい方があるそうだ)が、

「大概」、いい加減(ゆるい)など、肯定否定さまざまにニュアンスがある。

本書では、ま、上に立つものは結果の責任は自らに、細かいことは部下に任せるという態度というとらえかただったとおもう。

なるほど「郷中」と「テゲ」の概念を使えば司馬遼太郎も匙を投げた西郷の「二面性」的な行動も維新前と後の西郷の行動も統一的に理解できる気がする。

西郷を肯定的に評価するか、否定するかはさておいての話だが。

それは令和の時代の今の日本の政治状況の理解にも有効だ。

webで立ち読み 試し読みもできるようです。
 

 


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