『西郷隆盛』 第一巻 単行本 – 2007/11/7
海音寺 潮五郎 (著) 1 件のカスタマーレビュー
奄美図書館には、3階に「海音寺潮五郎文庫」のコーナーがあるのだが、
これは2回、郷土コーナーの一番目立つところにあって、いつも目についていたのだが、
素通りしていた。急に読んでみたい気になった。理由は、以下おいおい書いていこう。
キリスト教思想家として知られる内村鑑三は西郷隆盛を高く評価している。
その名著『代表的日本人』Japan and The Japanese Representative Men of Japanのなかで
「維新に於ける西郷の役割を余さず書くことは維新史全体を書くこと」という言葉はよく知られている。
ほかに西郷を評価した人は、新渡戸稲造のBushido
両者とも明治、近代の日本のキリスト者を代表する人物で同時期、英語で出版している。
同じ時期、英語で書かれた本に 岡倉天心 『茶の本』 The Book of Tea がある。
福沢諭吉の小論「丁丑公論」は、西南戦争で逆賊とされた西郷隆盛を弁護している。
内村の『代表的日本人』その5人とは、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人、
いづれも宗教と深いかかわりがある。「愛民」「質素倹約」「勤勉勤労」「聖人心学」「立正安国」
なかでも西郷は親しみやすくわかりやすい。謎もまたおもしろい。
本書では、西郷の奄美龍郷での暮らしの小説的描写のなかに 敬天愛人、知行合一の思想の深まっていく様子が巧みに描かれている。
西郷隆盛はもう何度か読んだが、歳とともに見方がかわる。時代によっても変わるかもしれない。
維新史全体のなかでも、西郷のおかげで奄美がほどよい間隔で登場するので飽きずに読むことができる。
あ、他に西郷を高く評価した人物として私は著者の海音寺潮五郎さんをあげよう。
本書のあとがきの書き出しも「私が西郷の伝記を書こうと思い立ったのは、私が西郷を好きだからです」で始まる。
それでよい、それだからよい,そうであるべきだ、と思わせる読後感だった。
朝日新聞社から単行本として全9巻、文庫本の場合は全14巻が出版されており、海音寺潮五郎さんの絶筆になった
この記事は、思いついたときに随時、メモ代わりに加筆しようと思う。
amazon 内容(「BOOK」データベースより)
西郷誕生から彰義隊戦争まで、激動の幕末・維新史を見事に描破した幻の大長編史伝、新装版にて刊行開始。
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登録情報
単行本: 456ページ
出版社: 朝日新聞社; 新装版 (2007/11/7)
発売日: 2007/11/7