萩の花は万葉集には非常に多く、142首に登場します。
零れるばかりに咲いた萩の花が、ホテイアオイの傍にありました。落ち着いた赤い色は、彼岸花とは大違いですが、やはりこの花も元薬師寺にお似合いです。
その中から少しだけ取り出してみました。
0120: 我妹子に恋ひつつあらずは秋萩の咲きて散りぬる花にあらましを
0231: 高円の野辺の秋萩いたづらに咲きか散るらむ見る人なしに
0233: 高円の野辺の秋萩な散りそね君が形見に見つつ偲はむ
0455: かくのみにありけるものを萩の花咲きてありやと問ひし君はも
古代の人たちが最も愛したのが萩の花らしいです。
1363: 春日野に咲きたる萩は片枝はいまだふふめり言な絶えそね
1364: 見まく欲り恋ひつつ待ちし秋萩は花のみ咲きてならずかもあらむ
1365: 我妹子がやどの秋萩花よりは実になりてこそ恋ひまさりけれ
元薬師寺に萩の花が、当時はもっと広い境内一杯に植えられていたのかも知れななぁと、古を思うのも楽しいものです。
万葉集は、「楽しい万葉集(1514)からの引用」です。