訪れたお寺の境内の木々には、まだ晩秋の名残に満ちているのに、昨日からの冬の訪れが、何かにせかされているようで切ない。
生前に母はお寺のバスツアーでここに訪れている。本堂の前に立って「南無阿弥陀仏」を唱えながら、母はどんなことをお願いしたのか、今はしっかりと分かるような気がする。
お願いどおりか母の信心が深かったのか、母はある朝朝食中に「ポックリと」旅立った。
冷たい風の吹く冬の訪れは、今年はずいぶん早すぎる。
そんなに急がないで晩秋から初冬の季節の移り変わりを、もう少しゆっくりと、見させて欲しい。