大仏殿を映しこんだ鏡池。金色の鴟尾がゆったりと水面に浮かぶ。
二月堂からここに至るまでの、瓦土塀の続く二月堂の裏参道は、私の最も好む奈良の道である。
仰ぎ見て振り返りつつ二月堂を下から拝して、裏参道へ。
この参道は、どの季節に通っても、古を偲びながら、想像を自由にして心を千年の古都に遊ばせることができる。
まして今土塀の中から枝を伸ばしている楓の紅葉が、ほかの季節にない華やかさが感じられる。
人通りの少ない大仏殿に沿って、回廊を目にしながら、鏡池の紅葉の林を目当てにこのところはせっせと歩んだ。
このあたりの楓はまだもう少し先に紅葉の時を迎えそうである。
池に枝を伸ばした古木の紅葉は威厳がある。
池の右側の公孫樹や楓は美しい秋を、水面に映している。
これらの樹木があるから、大仏殿の映り込みがまるで鏡のようなにで、「鏡池」と呼ばれているのだろう。
池の畔で、最も朱に染まってたのは、この一角だった。
紅葉の色は様々で、それらがお互いを演出しあって、奈良公園の紅葉を、一層美しくしているようだ。