新芽の芽吹きが、風景全体を柔らかくしている。
それが木の芽であっても、花芽であっても、これから訪れる季節が今までと違った春色になることを告げているようで、なんとなくわくわくした気持ちにしてくれる。
花の色彩がなくても、早春の色ではなかろうか。
甘樫の丘の麓にある唯一の駐車場に、目的もなく駐車した。
春探しをしてみたくて、少し散策をする。
落ち葉の下敷きになっていた小さい草が緑色になってきている。冬には全て褐色の枯れ草色だったのが、いくらか緑の絨毯模様になっている。「雑草なんて名前の草はないよ。」いつか万葉植物のことを学んだ時に教わったが、春一番に色付いた緑になるのを、いっぱ一絡げにしてつい「雑草」と呼んでいる。
林の向こうに緑の畑を見つけた。
咲き始めたばかりの菜の花だ。3月の終わりには一面菜の花畑の黄色い絨毯になるだろう。
林に入ると、ミツマタが数輪咲いていた。 黄色い花は元気があっていい。
もう終わりに近いけれどロウバイの透き通った黄色も美しい。この花が一番先に、甘樫の丘の麓に咲いた花だったのだろう。春の先駆けの花。ご苦労さんでしたね。
10179